フランスのアンリ・カガン氏とともに今年のノーベル化学賞に輝いた硤合憲三・東京理科大名誉教授。同大の前身である東京物理学校は、文豪夏目漱石(1867―1916)の名作「坊っちゃん」の主人公が卒業したと設定された学校だ。

 東京理科大関係者では15年、大学院で学んだ山梨大卒の大村智氏がノーベル生理学・医学賞を受賞している。硤合氏は東京大の学部と大学院などを経て81年、理科大の専任講師に。助教授から教授になり、長く奉職してきた。ノーベル賞の栄誉に、X(旧ツイッター)では物理学校に言及する投稿も。「夏目漱石の小説『坊っちゃん』主人公が卒業した学校と言う設定なんだよね」などと指摘されている。

 理科大校友会のウェブサイトによると、1881年に東京物理学講習所が東京・九段坂下に創設され、83年に東京物理学校と改称した。第二次世界大戦後の1949年に理科大創立。同大は2031年に創立150周年を迎えるとしており、その歴史には物理学校時代も含まれている。

 校友会サイトは、漱石について「当時の創立者たちと親交があり」と説明している。漱石は物理学校から遠くない、現在の新宿区生まれ。小説では「主人公が、その父の死後に分けられたわずかの遺産を元手に通った学校の名称として『物理学校』があります」。創立125周年の際、「坊っちゃん」は大学のイメージキャラクターとなっている。

 奇しくも今年は、「坊っちゃん」が1906年に雑誌「ホトトギス」誌上で発表されてから120年。漱石の没後110年にもあたり、来年は生誕160年を迎える。節目の当たり年のようなタイミングで、坊っちゃんの〝母校〟にノーベル賞が贈られる。