23日のNHK連続テレビ小説「風、薫る」第128回で、直美(上坂樹里)が意味深な満面の笑みを見せ、〝論敵〟への恋心ものぞかせた。

 ともに日本初のトレインドナース(系統的・組織的教育をを受けた看護の専門職)のりん(見上愛)と直美のドラマも大詰め。2人は看護の現場で活躍しつつ、後進の育成にも乗り出す。そこに立ちはだかったのが制度の壁。直美は、実務経験がありながら過去のいきさつから看護婦試験が免除されないツヤ(東野絢香)について、内務省衛生局官僚の柳生(中村倫也)に直談判していた。後日――。

 直美は、訪問看護対象の平蔵(太田光)に感謝され、「あの碁の弱いお役人にも礼言っといてくれ」と頼まれる。一瞬ドキッとした表情が、何かを考え込むような顔つきに。「アイツ嫌いか」と問われて「いえ…」。さらに「アイツも大事な命か?」と尋ねられると、白い歯をのぞかせて満面の笑み。画面は花瓶に挿した緑の葉のカットに切り替わり、直美の感情を代弁するかのように生気をみなぎらせていた。

「碁の弱いお役人」は柳生のこと。直美はツヤの技量を見てもらおうと、平蔵宅に呼んでいた(第126回)。柳生は視察だけでなく、平蔵の碁の相手もすることに。その帰り、2人は団子屋「田之上屋」へ。ただならぬ気配を感じた主人の「チュウ」こと忠蔵(若林時英)は盆を堅く胸に抱いて、挑戦的な視線を柳生に注ぐ。2人の話が気になるようで、店の奥からもチラリ。やはり、盆を両腕で抱えていた。

 2人に恋愛感情が芽生えないか、警戒心あらわな様子の忠蔵。この時、直美は夫の吾郎(甲斐翔真)を日清戦争で亡くしたことを明かした。柳生が妻を失ったことは知っており、今回の告白で柳生も互いが同じ境遇であることを知るところとなった。

 そこまでは知る由のない平蔵だが、直美から秘めた感情を察知し、純粋な笑顔を導いた形だ。

 もっとも、団子屋トークで直美は、個々の軍人を兵力としかみていない柳生を「人でなし」と糾弾し、「柳生さんのことが分かりません」と断じている。柳生も「君と私は何もかも違う」と返しており、その場は決裂。いわば論敵のような関係だが、直美の笑顔を何を物語っているのか…。