またもテレビ局の〝コンプライアンス事案〟が発覚した。NHKは5日、職員のAさんが番組出演者Xから性被害を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になった事案があったことを公表した。Aさんは休職後、所属部局以外での復職等を希望したが、聞き入れられなかったという。同局のガバナンス不全、そして気になるXの素性とは――。

 NHKによると、昨年4月に職員のAさんから「番組出演者からの性被害により体調を崩して休職し、フラッシュバックなどもあるため、所属部局以外での復職等を希望したが聞き入れられなかった。なぜ実現されなかったのか確認したい」などと労働組合を通じて申し入れがあった。

 これを受けNHKは同5月に外部の専門家などからなる調査検討委員会を設置。約1年にわたり、35人からヒアリングを行い、計34回会合を開いたうえで今回、報告書の公表に至ったという。

 同委員会が認定した事実では、Aさんが番組の出演者Xらとの懇親会の後、Xにより意に沿わない性被害にあった。その後、体調不良となり欠勤・休職。AさんはXによる被害から1年数か月後、職場に被害を打ち明け、所属先への復職では被害当夜のことがフラッシュバックするため、別の職場で復職できるよう「特段の配慮」を求めたが、認められなかった。

 Aさんは復職後も異動を求めたものの、実現したのは被害から3年以上経過した後。Aさんは「意に沿わない性被害の影響によるPTSD」と診断された。

 まさにフジテレビの中居正広問題、日本テレビの国分太一に続くテレビ局のコンプライアンス事案――。テレビ関係者が言う。

「今回、Aさんが週刊誌や代理人弁護士ではなく、労働組合を頼ったのは、ガバナンスが機能していないNHKの組織に関する問題意識があるからでしょう。実はNHKの労働組合は強い。2004年に受信料不払い運動が深刻化した時、海老沢勝二会長(当時)に辞任要求までしたほど。それだけに今回、労働組合から通報され、NHKは事の重大さに気付いたはずです」

組合から辞任を突き付けられた故海老沢勝二氏
組合から辞任を突き付けられた故海老沢勝二氏

 NHKはAさんの訴えに耳を傾けなかったのは、担当者の事案の認識が不十分だったこと、内部通報制度の周知が徹底されず、現所属での復職が原則だとする前例踏襲主義によって、上層部への報告が遅れたと説明した。厳重注意処分されたのは人事局の担当者など5人。NHKから謝罪されたAさんは「組織全体がいい方向に向かっていけばいい」と話している。

 一方、気になるのはXだ。

 NHKはAさんの人権問題につながるおそれがあることから、Xの実名はもとより、芸能人か文化人かなどの属性も明らかにしていない。今回の事案に対してXは「飲酒していたため、記憶していないが、もしそうした事実があったのであれば申し訳ないことをした」と話しているという。

 すでに問題となった番組は終了。そして事案発覚以降、NHKは番組出演依頼をしていない。ある芸能関係者の話。

「事実上の〝出禁〟と言っていい。結局、誰がやったかが肝。NHKの番組に出るくらいですから一般的な知名度はあると思う。特定されれば、他の仕事も〝降板ドミノ〟となるのは必至とみられます」

 いったい、どうなるのか。