小田原競輪GⅢ「開設77周年記念、北条早雲杯争奪戦」は8月1日、開幕する。初日11Rに出走する伊藤旭(26=熊本)は特別な思いを持ってシリーズに挑む。

「飛行機が飛んでくれたので無事に来ることができました」。こんな当たり前のことをわざわざ口にしたのは、それが当たり前ではない事態に陥ったからだった。7月28日に令和8年熊本地震が発生し、いまなお余震が続く。「うちは食器棚が倒れたぐらいで大丈夫でした」と平然と話すのも、不幸中の幸いとの認識があるからだろう。

 熊本競輪場は31日から道場が使用できるようになったが、車中泊可能な避難場所に指定されている関係でバンクは使用できず「練習できない日もあった」という。ただ、直近は宇都宮と富山で2場所連続優勝と好調で、戦える状態にはある。

 前を託す東矢圭吾も地震による被害は「棚から部品が落ちたぐらい」で済んだが、友人の親族が嘉島町の商業施設、イオンモール熊本の爆発事故で亡くなり「それだけが…」と言葉を詰まらせた。

 それぞれに思うところはあっても目の前のレースに全力投球する姿勢に変わりはない。「東矢さんはトルクがあるので離れないように気をつけます」と伊藤。3番手を固める高木和仁も含めた上位独占で、熊本に少しでも明るい話題を届ける。