◇新田泰章(38)広島支部101期

 昨年は年間勝率、勝利数、獲得賞金など様々なカテゴリーでキャリベストの数字をマークした。年明け以降は猛爆モードに突入しており、正月シリーズでは18回目の優出で悲願の地元初V達成。一節挟んで浜名湖→びわこ連続Vと破竹の勢いで飛ばしている。

「正月もエンジンが出ていたわけではないし、今年はでき過ぎという気もします」といつも通りに謙虚だったが、昨年以降の急激な成績の上昇には明確な裏付けがあるという。

「節間のエンジン出しやレース運びについて自分で統計を取って振り返ったのがきっかけですね。要は失敗した時に同じパターンがないか、と…。その結果、回転を上げた時に良くないことが多いと気付きました」

 そこでペラ調整については自らの原点に戻ることを決意した。

「そもそもペラのセンスがある方ではないのに足のバランスを取ろうとして失敗していた。自分は握っていける時の方が着がいいんです。だから生命線は乗り心地。キャビったり、乗れなくなったら終わりなんです。マイ過ぎで5、6着を取るのは避けたい。なので最近はエンジンを出そうというより調整を失敗しないように…、大外しをしないように…、という意識は持っていますね」

 エンジン出しの堅実さは当然ながらレースにもつながっていく。その結果は2連対率の上昇という形で現れた。2023~2024年の45%から昨年は52%へ大幅アップ。トップレーサーの一角を担うようになった。

「結局、乗れるのが一番。落ち着いてレースができる。そうすると不思議と相手もミスするようになるんですよね(笑い)」

 自らを客観視したことはレースへの向き合い方にも大きな変化をもたらしている。

「これまでは自分は選手なんだからレースを走る相手5人と勝負していると考えてきたけど、最近はそうでもない。エンジンを出そうとか、いい着を取ってやろうとかみたいな自分の欲との戦いだと思う。それを抑えるのは難しいけど、意識するだけでも違います」

 今年は大きな目標を掲げている。

「SGの出場権ですね。目標を聞かれたらそう答えます。具体的にはクラシックにつながる年間優勝6回とダービー勝率。もちろん意識し過ぎるとダメなので普段は目の前の一走一走ということになるけど」

 同期の背中を追いかけ続けてきた男が、ついに並びかけようとしている。無欲に徹して大舞台への道を切り開く。