【ジョニ・ミッチェル/逃避行(1976年)】
カナダの偉大なる女性シンガー・ソングライター、ジョニ・ミッチェルの最高傑作。ロックでもフォークでもジャズでもない不思議な音空間が、独特の迫力と透明感とともに構築されている。
特筆すべきはジャコ・パストリアスの超絶的なベースライン。アンサンブルなど無視して空を飛ぶ鳥のように自由かつシンプルに音を鳴らしている。ジョニの変則的チューニングの張り詰めたギターの音と、独特の声。それぞれが勝手に音を鳴らしているようだが、見事に調和されて美しく音空間を作り出している。
1曲目の「コヨーテ」は特に衝撃的だ。氷上を滑るジョニの写真が内ジャケットには写っているが、ジョニのギターと声、ジャコのベース、パーカッションのみと最小限の楽器ながら、奥行きの深い、まさにいてついた冬の空を滑っていくような音世界が展開される。この言葉にできない感覚はやはりアナログで聴いてほしい。
他にも「逃避行」「黒いカラス」「ブルー・モーテル・ルーム」など名曲ばかり。天才ジョニが作り出した誰にもまねのできない不朽の名盤である。












