ボートレース多摩川のプレミアムGⅠ「第12回クイーンズクライマックス」は31日、いよいよファイナル。勝ち上がった6選手による女子頂上決戦が行われる。2023年のラストを飾るビッグレース。ボートレースファン歴45年の元天才ジョッキー・田原成貴氏(64)は第12代のクイーンに遠藤エミ(滋賀)を指名した。

【田原成貴氏が熱く語る】年越しそば、紅白、除夜の鐘。昔から伝承されてきた日本の大みそかの行事に、華やかな女子ボートレーサーの大会が加わるなど想像もしなかった。

 ボートレースのファンになって、はや45年。私が20代の頃は女子選手は数えるほどしかいなかった。今大会、画面越しにレースを見ていると、東京競馬場の帰りに多摩川ボートに寄って舟券を買っていた昔の思い出がよみがえってきた。選手の技術やレース場の雰囲気は一変したが、水面の興奮はあのころのまま。懐かしい記憶とともに、新たに加わった年の瀬の風物詩を感慨深げに楽しませてもらっている。

 それにしてもボートレースの進化は目を見張るものがある。今大会も全レースをチェックしているが、選手の技量はもちろん、スター性や華やかさは年々向上している。正直、グランプリを見た直後なので女子のターンスピードはやや物足りなさを感じるが、一人だけ異彩を放つ選手がいる。女子ボートレース界のパイオニア、遠藤エミ選手だ。

 彼女のターンは、グランプリ出場選手にもヒケを取らない。今回のような女子限定の大会となれば、ネームプレートを見なくてもすぐに遠藤さんだと認識できるほど頭一つ抜けている。

 具体的にどこが他の選手と違うのか。私はボートの素人なので感覚的なことしか言えないが、遠藤さんだけ水面とボートがきっちり密着している気がする。例えば道中で競り合っている時、男子よりも非力な女子選手はボートを制御できないのか、まるでウチワにあおられたようにバタバタ、フワフワする。水をきっちりつかみ切れていない感じだ。

 しかし、遠藤さんはどうか。素人目に見てもボートがグリップしているのが分かる。水をグッとつかまえ、力強さがある。そのため旋回後に一人だけギューンと出て行くのだ。

 その典型的なシーンがトライアル第2戦にあった。1Mでまくり差しに入れずバックで最後方。絶望的な位置となったが、2周1Mで最内をクルっと回って3着に浮上した。この時のグリップの力強さ、他艇の懐をえぐるような鋭いターンを目の当たりにし、改めて彼女の旋回技術を思い知った。

 トライアル最終戦も2コースから差し切り、先マイ逃走でファイナル進出を狙った平山智加選手の夢を打ち砕いた。舟券を買っている身としては、これほど心強い選手はいない。私が20代、30代のころには絶対に存在しなかった進化系女子レーサー。そんな彼女が最後にティアラをかぶると思っている。

 1号艇の浜田亜理沙選手(埼玉)は今大会で最もツイている。トライアル第1戦、第2戦は展開をうまく突き、最終戦は2枠をゲット。連日のように運が味方し、ついに初出場でポールポジションをつかんだ。多摩川ボートのヴィーナスは彼女にほほえみかけているが、オレは最後の最後に遠藤さんの貫禄が勝ると思っている。トライアル最終日には2コースからきっちり〝予行練習〟を済ませている。ファイナルでも鋭く力強いターンが炸裂するだろう。

 女子初のSG制覇を果たすなど、ボートレースの歴史を次々と塗り替えてきた女子第一人者。今年のレディースチャンピオン制覇に続き、史上初の「同一年・夏冬連覇」を達成し、名実ともに女子トップの地位を盤石のものにしてほしい。