ボートレース下関のプレミアムGⅠ「第10回ヤングダービー」が19日に開幕。若手レーサーの頂点を決める大会は今年で10回目を数える。これまで数々のスターを輩出してきたが、今年はどんなニューヒーローが誕生するのか。ボートレースファン歴45年、元天才ジョッキー・田原成貴氏(64)がドリーム戦で目をつけたのは、まさしく次世代を担う男! 競馬界のスターが語る新時代のスターとは?

【田原成貴氏が熱く語る】ボートレース界に新たなスターは誕生するのか――。ここ数年、私は常々そう思い続けてきた。ヤングダービーは〝スターへの登竜門〟と言われるが、確かに前身の新鋭王座決定戦を含め、このレースを勝って「一流」に上り詰めたレーサーは数多い。

 全速ターンを武器に並み居る古豪をなぎ倒し、ボート界に新風を巻き起こした今村豊さん、大外からの豪快なまくり差しでSG最年少V(当時21歳9か月)を果たした服部幸男さん、生涯獲得賞金25億円超えで現選手会・代表の瓜生正義さん、SG10Vでボートレース界のエースにのし上がった石野貴之さん。他にも書き切れないほどのスターたちが新鋭王座&ヤングダービーのタイトルを手にしてきた。

 人はスターに心ひかれ、時には歓喜し、感動の涙を流す。それはもはや勝敗や実績では推し量れない。スターは人をひきつけてやまない、文字通り「星」を持っているのだと思う。水面に姿を現しただけでレース場の雰囲気を一変させ、スタンドの隅々に届くほど光り輝く。まるでピンスポットのライトが当たったかのごとく、ファンの視線を独占するのだ。私はそんな選手の出現を心待ちにしてきたが、今回のヤングダービーには私をワクワクさせる次世代スター候補が出場する。

 その男の名は新開航、27歳。私は彼のレースをひと目見て、ビビッときた。ご存じの通り、昨年は年間最多勝(125勝)と最多優勝(10V)と大躍進したが、成績以上に彼のターン技術に目を奪われた。私は専門家ではないので詳しいことは分からないが、直感的に「実に合理的なターンだ」と感心してしまった。具体的に言うと、常にターンマークのギリギリを狙い、最短距離にこだわっているように見える。

 よくガムシャラなターンを「ブン回す」と表現するが、彼の場合は真逆だ。極限まで精度と質を突き詰め、無駄が一切ない。ターンスピードは目的でなく、あくまで手段。そんなニュアンスで伝わるだろうか。つまり、ただ速いだけではない、ただ豪快なだけではない、計算された奥深さと合理性を感じるのだ。

 もともと彼はスタートも早く、インは強い。しかし、それだけでは華のあるスターにはなれない。前述した先人たちを思い出してほしい。今村さん、服部さん、瓜生さん…彼らはインの選手の脅威となり、外枠からファンを喜ばせてきた。新開さんもその一人だ。今回のドリーム戦は2号艇。あの切り裂くような差しハンドルがさく裂する絶好の場ではないか。

 私は事あるごとに言ってきたが、たった一人の出現によって世界は変わるもの。今村さんが革新的なターンでボートレース界を変えたように、それは歴史が証明している。今回のヤングダービーで頂点に立つのは誰か?は神のみぞ知るところだが、少なくとも次世代を背負う意識があるなら絶対にこのレースは負けられない。

 新開さん、アナタの合理的なターンは今の時代にピッタリだ。とても魅力があり、恐ろしいほどの可能性を感じる。キミがスターになるには、このタイトルを取らなければならない。