東京映画記者会(東京スポーツなど在京スポーツ7紙の映画担当記者で構成)が選ぶ「第65回ブルーリボン賞」各賞が決定し、監督賞は「PLAN75」でメガホンとともに脚本も担当した早川千絵監督(46)が受賞した。

 同作は、超高齢化社会で満75歳から自分の死について選択できる法案が可決された架空の日本が舞台。社会に問題を投げかけるSF作品として海外にも衝撃を与えた。

 早川監督は「この作品で何かを批判したいとか上から目線で描きたいわけではなく、〝人間を生きる〟ということを肯定したかったんです」と改めて製作意図を説明した。

 もともとはテレビ業界にいた。幼いころの夢を追い続けるため、映画監督に転身。「第75回カンヌ国際映画祭」では、新人監督に与えられる「カメラドール特別表彰」に選出された。

 日本でも数々の映画賞を受賞。その心境について問われると、「調子に乗るなよと逆に自分に言い聞かせています」と勘違いしないようにしている。「評価軸が他人にあるとツラい。でも、やっぱり受賞はうれしいですね」と笑みを浮かべた。

 映画監督としてデビューする前、1997年から米国で生活した。

「外から俯瞰で日本を見ると、自己責任論があるなあと。イラク日本人人質事件(2004年)では人質になった人と、その家族に対して自己責任論があり、すごく驚きました」

 08年に帰国。自己責任論は過熱し、違和感を覚えたという。16年の相模原障害者施設殺傷事件に衝撃を受け、今作の製作につながった。

 長編デビュー作で堂々とメガホンを取ったが、自身がカメラで撮られるのは大の苦手という。

 映画関係者は「どんな顔をすればいいのか分からない。(カメラを向けられると)ド緊張していましたね」と明かした。衝撃作を手がけた鬼才には意外な一面があった。