公の場ではちょっとはばかられるようなエロ話を題材にした落語を艶笑落語という。それを得意とする上方落語家の森乃石松(41)が、現役ストリッパーのみおり舞(32)とコラボした「ふたり会 18禁落語会」(12月4日、神戸新開地・喜楽館)を開催する。落語とエロの異色タッグを結成した理由とは――石松を直撃した。

 同公演は昨年に続き2回目の開催。昨年は大阪・心斎橋角座で開催し満員御礼となり、今年は喜楽館に場所を移して行う。石松が「宿屋かか」「揚子江」「近所付き合い」の艶笑落語三席を演じ、みおりは客席からのリクエスト曲に合わせて即興ダンスを披露。2人のトークショーも行われる。落語とストリップの融合とは異色だが、なんでまた現役ストリッパーとコラボしようと思ったのか。

「僕、某ストリップ劇場で5年間、アルバイトしてたんですよ。そういう縁で風俗関係にも知り合いがたくさんいまして、みおりさんと知り合いました。みおりさんは振り付けも自分でやるんですけど、プロデューサー的な考えを持っていて『何か一緒にやりません?』と提案いただいて、やることになりました。ストリップも廃れてきているので、見たことのない女性の入り口として見てもらいたいですね」

 ちなみに、みおりは脱がない。石松は「彼女はローザンヌ国際バレエコンクールにも出ていて、とてもきれい。若い女性ファンもサブカルチャーとして見に来ていただいているし、女性の方はハッとしていますね。逆に昭和のストリップを知ってるおっちゃんは『エロくない。フィギュアみたい』って言いますけど」と話す。

 喜楽館のすぐ近くには、兵庫有数の歓楽街・福原もあり、近隣からは「遊郭の噺をして」という意見もあったというが、「先代の森乃福郎と師匠(二代目森乃福郎)から受け継いだ艶笑落語をします。昼間からそんなことをすると、今はコンプライアンスもうるさいので、あえて『18禁』くくりにしてもらいました。その方が伸び伸びできる。言うても言葉だけですから、エロさよりも文化的に感じてもらえると思うし、“古典落語通”みたいな人もめったに聞けないので、楽しんでもらえると思う」と意気込む。

 石松は大学中退後、風俗業界に関わってきた。その中で「人間の数だけエロがあって、しかも必要なものなのに、これだけ伏せられてる世界って珍しい」と感じた。今でも中古ビデオ店で昔のアダルトビデオを眺めるのが好きで「エロって時代を一番、反映してるでしょ」と笑う。

 落語には「そういった人間のホンネとかスケベ心とか出てる。こういうのをくすぐるのが落語の面白さ」といい、落語家を目指して2003年に森乃福郎に入門した。

 森乃一門は桂文之助・笑福亭福松の直系として、他の一門にはないネタを受け継いでおり、石松も新作から古典まで何でも演じる。古典に関しては、明石家さんまの師匠としても知られる故笑福亭松之助さんに稽古をつけてもらっていたほどだ。ただ生来の“面白がり”な性格もあって「変わった落語をやりたい」と艶笑落語も受け継いだ。

 艶笑落語は上方落語界では桂米朝、笑福亭松鶴といった上方四天王も演じていたが、今や話し手は森乃一門など一部に限られている。

 石松は「ニッチで需要もなくなってきて、他の一門ではやらないですけど、ばかばかしいことを考えてる先人のDNAを引き継いで残していきたい。大阪で一番、過激な男になりたいんですよ」と目を輝かせた。