歌舞伎役者の市川海老蔵改め、十三代目市川團十郎(44)が7日から、東京・歌舞伎座で襲名披露興行を始める。團十郎として本格的に歩むことになるが、そのウラで特許庁に〝團十郎&海老蔵ブランド〟に関する商標の獲得申請を連発。梨園関係者からは利権の独占をいぶかしむ声もあるが、團十郎側がその意図を初めて明かした。

 團十郎は近年、特許庁に対し、成田屋に関するワードの商標登録の出願を繰り返している。これは今年3月「デイリー新潮」でも報じられた。

 直近では6月「團十郎」を出願し、他人が化粧品やスマートフォンなど身近な商品でこのワードを使わないように求め、9月には「市川宗家」を出願し、他人が映画や演劇などでこのワードを使わないように求めている。これらについて特許庁はまだ審査しておらず、團十郎は審査入りを待つ身だ。

 ほかにも英字の「ebizou」を出願して特許庁に棄却されたり、海老蔵の名を冠した公演名「海老蔵歌舞伎」を出願して特許庁に棄却されるも、意見書を提出して認められたりと商標ゲットに余念がない。

「團十郎さんは先代(十二代目)が亡くなった(2013年)後、商標登録の出願を連発しています。その数は優に50件以上」(梨園関係者)

 商標を取ろうとしまくるその姿には賛否両論ある。

 父とともに襲名した長男の八代目市川新之助(堀越勸玄くん=9)や長女の市川ぼたん(麗禾さん=11)ら次代の役者が外部のトラブルに巻き込まれないようにするため、利権を守ろうと〝ニラミ〟を利かせていると理解を示す声がある。

「逆に、成田屋の利権を独占しようとしているのでは――といぶかしがられています」(同)

 團十郎の商標登録の出願代理人は、大阪市内の特許事務所の弁理士A氏。

「少なくともここ5年ほどはA氏が担当。團十郎さんにとって〝ひいき〟の弁理士です」(同)

 A氏は取材に「守秘義務があるため答えられません」と回答。では、当人は――。

 團十郎事務所に、團十郎が商標登録の出願を連発している意図を取材すると、担当者は「昨今、数百年にわたり代々受け継いできた成田屋としての形が、先人たちの思いと違う方向に変化してしまうことも多くなってまいりました」と指摘。「商標権がすべてではないことは重々承知しておりますが、関係者の皆さまへ相談させていただき、時代に合った形でわれわれにとって大切なものを守るために出願すべきとお話をいただき、そのようにさせていただきました」と回答した。周囲からのアドバイスがあったという。

 また、市川家の代表的な演目「勧進帳」の商標登録の出願は8月、特許庁に却下されている。

「これを不服として知財高裁に提訴することもできますが、團十郎さんは断念したと聞きました。勧進帳は他の歌舞伎役者も演じていて、商標登録はかなわないと悟ったようです」(前出の梨園関係者)

 團十郎事務所は「勧進帳」の商標登録で知財高裁に提訴することは「考えておりません」と回答した。