安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者の半生に迫ったフィクション映画「REVOLUTION+1」が27日午後、安倍氏の国葬と同時に東京・渋谷で上映され、主要キャストが勢揃いした。

 事前告知されていたのは、銃撃犯・川上達也役のタモト清嵐(そらん=30)だけ。ほかはみな、内容が内容だけに自身のSNSなどでも出演に触れておらず、その正体を初めて明かす場となった。

 タモトはツイッターで猛烈な批判を浴びている。最近の作品紹介記事には「〝30歳俳優〟の覚悟」という見出しが付いた。その覚悟とは「〝いろんな人の思いをぶつけられるんだろうな〟っていうことで、そういうものはまぁ、受けはするけど流されないように。自分が自分でやりたいと思っていたこと(出演)での、一つの芯をぶらさないという意味」と明かした。

 父親役の髙橋雄祐(30)は「(誹謗中傷の)いろいろな言葉を簡単に発する前に、自分自身はじっくりと自分自身の考え、言葉を疑いながら考えていきたい」という。「皆さんもいろいろなことをじっくり考えていただけたら」と観客に語り掛けた。

 達也と同じ宗教2世の役を演じる森山みつき(25)は冷静だ。作品にかかわるにあたり「若干ビビりながらというところではあった」そうだが、ツイッターなどを見て「一つの映画の情報に対して〝こんなにも様ざまな意見が出るんだ〟っていうのを、関係者ながらちょっと〝ワァ~〟と見てるような感覚があった」という。

 政治にあまり関心がない人が多い若い世代の中にいて「こういった映画っていう形で、(実際)あったことをすぐに届けられることに関われたことは、すごく重要なことだと思っております」と話した

 達也の隣人役・イザベル矢野(38)は、革命家2世という難役だ。元日本赤軍の足立正生監督が描く、革命家2世の抱く思いを自分なりに落とし込んだという。

「(それを)この映画で何か伝えられたらな、ということで携わらせていただいて、ホントに光栄に思っております」

 母親役の岩崎聡子(55)は、家族や親戚、部屋の大家にもし何か言われたらどうしようと心配し、「『私が台本を読んだのは7月7日なんです。で、8日に(銃撃事件が起きて)すごく驚きました』というコメントを用意していた」と言い訳を考えていたようだが、そんな釈明の機会はなく、「国葬の日にここにいられることが、私はとてもうれしいです」と清々しい表情を見せた。

 妹役の前迫莉亜(28)は「やっぱり実在されている妹さんを演じるにあたって、いろいろ考えさせられることがあったんですけど、現場で足立さんに『もうちょっと踊るように、歌うようにセリフを言ってほしい』って言われて、なんか私もこう同じ気持ちを通ずるものがあったので、すごく刺激的な夏を過ごさせていただきました」と前向きなコメントで締めた。

 なお兄役の紫木風太(28)は、前日の初上映会場に来ていて「これからももっとたくさんの人に見ていただけますよう、頑張っていきます」と決意を語っていた。