沖縄県名護市安和の沖合で6日に見つかった男性の遺体について、名護海上保安署は7日、身元を人気漫画「遊☆戯☆王」の作者高橋和希(本名・一雅)さん(60)と発表した。高橋さんは1996年から2004年まで「週刊少年ジャンプ」に同漫画を連載し、シリーズ累計発行部数(電子版を含む)は4000万部以上。一説には海洋生物による遺体の損傷が指摘されているが、実際、地球温暖化で人に危害を与えるサメが日本中に広がっているという。

 高橋さんはシュノーケルとマスク、足ひれを着用。6日午前10時半ごろ、約300メートル沖合にうつぶせで漂流しているのをマリンレジャー関係者が見つけ118番(海上保安庁緊急通報用番号)通報した。1人でシュノーケリングをしていた可能性がある。死因につながるものか、死後に生じたのかは不明だが、腹部などには海洋生物に起因するとみられる損傷があったという。同保安署は経緯や死因を調べている。

 6日、レンタカー会社が高橋さんと連絡が取れないと県警に相談。現場から南西に約12キロ離れた恩納村のビーチ近くに車が止められていた。

 沖縄で人に危害を加える可能性がある海洋生物としては、オオメジロザメやイタチザメ、ホホジロザメなどといったサメが生息している。被害を受けるのはサーフィンやシュノーケリングをする人がほとんどだという。高橋さんもこういったサメにかまれた可能性がある。

 しかし、一口にサメと言っても種類はたくさんあり、その中でも人を襲うものはごくわずかだという。

 動物ジャーナリストの佐藤栄記氏は「サメは世界に500種類以上いますが、水族館にもいたりする体が大きなジンベエザメはプランクトンしか食べません。人に危害を加えるサメは20種類ほどで全体の5%。実は人がサメに襲われる可能性は低く、人を襲うサメというのは体が大きなものに限り、それらに人間が海中で出合うというのは非常にまれなケースとも言えます」と説明する。

 しかし、最近はこれまで日本で見られなかったサメが目撃されるようにもなっているという。

「昔はサメの被害や目撃情報は沖縄でしかなかったが、最近では茨城や千葉、神奈川でもサメが出るようになった。過去には4メートルを超えるホホジロザメの死骸が東京湾に上がったことがあり、最近になってもまた同じ場所でホホジロザメが目撃されたりしている。それは地球温暖化や黒潮の流れが南に迂回する黒潮大蛇行の影響が関係している」(佐藤氏)

 沖縄・那覇では先月、中心部に近い干潟で体長2~3メートルのオオメジロザメの死骸が4体も目撃された。黒潮大蛇行によって、今後関東方面にもこうしたサメが入ってくることが懸念される。

 高橋さんの死は英BBCや米ABC、NBCの大手放送局が電子版で大きく報じた。テレビアニメ、映画、ギネス世界記録に認定されたカードゲームなど、幅広く展開された「遊☆戯☆王」。海外メディアはそんな業績を紹介し、「Yu―Gi―Oh!クリエーターが海で死す」と伝えた。

 サメが人に危害を加える確率は低いといわれているが、海水浴シーズンでもある今は、こういった海の危険な生物について知っておく必要がありそうだ。