インターネット経由で不特定多数の人に出資を呼びかけるクラウドファンディング(CF)が、新たな資金調達法として注目されている。その一方で「集めた金の行方がわからない」「出資したのにリターン(特典)がない」など、詐欺まがいの被害も続出。先日、がん闘病の末に亡くなったアイドル歌手丸山夏鈴さん(享年21)を巡っても、支援金を募った事務所側と遺族との間でトラブルが一時、発生した。気をつけるべきCFの落とし穴とは――。
「クラウドファンディング」はその名の通り、クラウド(大衆)からファンディング(資金調達)すること。夢や目的を実現するため、ネット上で出資者を募るものだ。
効果的に資金を集めるために重要なのが、出資者へのリターン(特典)。元NHKアナウンサーの堀潤氏(37)は新しいニュースメディアを作る資金を調達するため、一昨年8月にCFを行い、目標金額の300万円を上回る362万2000円を集めた。そのうち30万円出資した5人には、堀氏に講演会やセミナー講師を依頼できる権利が特典として与えられた。
こうした成功例もある一方で、物議を醸したものもある。元AKB48の森杏奈(21)は今年1月に「20歳を記念して、初めての写真集をつくりたい!」とCFプロジェクトを発表。目標額は200万円で、230万円に達すればメーキングDVDを制作するとした。
出資者特典は4000円から20万円の11段階に分かれており、20万円コースは森とデートできる権利が用意された。これにはネット上で「デート商法では?」の声も…。
ネットに詳しい人物は「森さんのケースはまだまともな方。匿名掲示板などでは多額の出資をしてくれた人に体を売る女性もいる。CFが犯罪の温床に使われている部分もある」と話す。
先月22日に肺がんで他界したタレントの丸山さんをめぐっても、CFなどで集めた金の流れが問題となった。
所属事務所は2月に「丸山夏鈴応援募金」なる団体を立ち上げ、丸山さんのデビューシングルの利益を彼女とその家族に寄付すると発表。併せて丸山さんのために募金をCFで呼びかけた。
だが、集まった約230万円の支援金が家族の元に届いていないことが判明。丸山さんの母親はツイッター上で「社長の所で全てストップしています」「募金活動の善意も夏鈴には1円も届いてません」と暴露した。
慌てた事務所側は母親と連絡を取り「募金ならびにクラウドファンディングのお金は全てのリターンが終了してから一斉に報告する予定でした」と釈明。後日、70万3986円が遺族に手渡され、騒動は収束した。
さらにずさんなケースもある。大手IT企業勤務のX氏は眼帯を着けたアイドルの写真集を出版するため、CFを実施。写真集に掲載される女性は「出資者が購入した票の数で決まる」という仕組みを採用した。
これが功を奏し、集まった金額は330万円。ところが、投票期間中に1位の女性の票数が減り、2位に転落する不可解な事態が発生。S氏は「集計ミス」と釈明するも、投資者は「不正操作だ」「信用できない」と猛抗議した。
その後もX氏側の説明には矛盾が相次ぎ、結局CFプロジェクトは中止に。支援金は全額返金となった。これでは応募したアイドルも支援者も浮かばれない…。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「CFは新たな資金調達法として利点も大きいですが、金を集めて音信不通になる詐欺師のような連中もいます。かといって、被害者が告訴しようにも『だますつもりはなかった』『まじめにやったけどダメだった』と返されたら、立件できるかは微妙。まずは金融庁なりが動いてルール作りが必要に思います。ネット上には有象無象がいます。逃げ得を許さないために、不測の事態が起きたときの問い合わせ先を確保することが大事。何より『ダマされることもある』という意識を持つことが肝心です」と指摘した。
せっかくの善意を無駄にしないためにも“確かな目”が重要だ。












