昨年の大みそかの「第69回NHK紅白歌合戦」(東京・NHKホール)で“目玉”の一つと言われたのが、シンガー・ソングライター・米津玄師(27)の歌唱だ。楽曲「Lemon」で初出場し、自身の故郷・徳島から生中継された。

 中継は徳島県鳴門市にある「大塚国際美術館」で行われた。壁画に囲まれた暗い館内では、大量のロウソクに火がともされ、米津は約4分間力強く同曲を歌いあげた。

 米津は歌唱後、「会場を用意してくれたすべての方に感謝の気持ちを述べたいと思います。本当にありがとうございます」と深々と礼。これに総合司会の内村光良(54)は「しゃべってる! 初めて見た、すごいな!」と声を弾ませるほどだった。

 これまでライブこそするものの、テレビでは歌ったことがなかった米津。ある音楽関係者いわく「ユーチューブなどのネットを中心に活動をしていた米津さんはメジャーデビューしたいという強い思いもあまりなかった。だから、テレビ出演という強い思いもなかったタイプのミュージシャン」。

 そんな米津を何とか引っ張り出そうとあの手この手で勝負をかけたのが今回の紅白だ。別のレコード会社関係者は「今回、紅白でDAOKOが歌った米津の作詞作曲による『打上花火』も、出演のきっかけになればという思いもあったでしょう。NHKスタッフは連日のように粘り強く交渉していた。それこそ条件は何でものみますといわんばかりの勢いだったそうです」。その“執念”が故郷の徳島からの生中継につながったということだ。

 この「Lemon」はドラマ「アンナチュラル」(TBS系)の主題歌として“亡くなった人を想う曲”ということで制作をしていたところ、徳島にいた米津の祖父が他界した。「レコード会社も『自身の故郷、そして祖父の生きていた土地・徳島でこの曲を歌う事の意味を感じることが出来た』と出演のいきさつを説明してましたが、親族話を持ち出すのはNHKの常とう手段。さすがのひと言です」と前出の関係者。米津の歌唱は高視聴率を獲得した今回の紅白に大きく貢献したはずだ。