〝キャラ変〟で俳優デビューは幻に――。東京五輪開会式の楽曲担当を辞任したミュージシャンの小山田圭吾(52)が16日発売の「週刊文春」のインタビューで、学生時代のいじめを音楽雑誌で語った理由について、アンダーグラウンドなキャラに変えたかったと釈明した。追跡取材すると、小山田は当時、TBSから連続ドラマの出演をオファーされたという。ところが、「キャラに合わない」と断った過去があったのだ。

 小山田は学生時代にいじめをしたと音楽雑誌「ロッキング・オン・ジャパン」(1994年)などで語ったきっかけについて、文春でキャラ変が理由だったと釈明した。小沢健二らと組んだバンド「フリッパーズ・ギター」を91年に解散、94年から「コーネリアス」としてソロ活動を開始した時だった。

 小山田はフリッパーズ時代、周囲から「軽くてポップ」なキャラと見られていたと感じたそうで、コーネリアスとして活動するにあたり「もっとアンダーグラウンドのほうにキャラを変えたい」と思ったという。その一環で、音楽雑誌で「あえてきわどいことや露悪的なこと」を自ら暴露。〝ポップ小山田〟から〝アングラ小山田〟へのキャラ変を図ったわけだ。今では「極めて浅はか」と猛省している。

 追跡取材すると、確かに小山田はキャラ変を模索していた。当時を知る音楽関係者の話。

「古い話ですが、小山田さんは93年ごろ、TBSから連続ドラマの出演をオファーされたようです。ドラマ名は不明。ヒロインと親密になる青年役だったそうです」

 小山田は87年、フリッパーズのメンバーとして芸能活動を開始。俳優業には手を出していなかったため、オファーを引き受ければ俳優デビューだった。

「考えた末に『キャラに合わない』と断ったと聞きます。文春のインタビューで『アングラなキャラに変えたかった』と釈明していたことで、ドラマ拒否も合点がいきました。地上波の華々しい俳優業はイヤだったんでしょう」(前出関係者)

 だが、ここで矛盾が生じる。小山田は文春のインタビューで、アングラなキャラに変えたかったと釈明しながら、当時、少女役でCM出演しているのだ。

 95年に人気チョコ「小枝」のCMで女装に挑戦し、少女になりきった。カメラ目線で目をパチパチさせ「ルンルン」とスキップするCM。ファンの間で話題になった。

 広告代理店関係者は「これだとアングラというよりオトメン(乙男)でしょう。キャラ変に失敗して一時、迷走したのかもしれません」と指摘した。

 2000年以降は、ユニクロなど有名企業のCM曲やNHK・Eテレの子供向け番組「デザインあ」の挿入曲を担当して活躍。東京五輪開会式の楽曲担当に抜てきされたというわけだ。

 いずれにしても、キャラ変を理由に、いじめっ子だった過去を音楽雑誌で自慢げに吹聴。被害者を2度傷つけた。

 小山田は文春で「申し訳なく思っています」と陳謝。「(自分に)雑誌で語られることでどんな思いをされるか、当時の自分には、まったく想像ができていなかった。本当に恥ずべきこと」と頭を下げた。

 もともとミュージシャンはトガった者が少なくない。小山田は次にどんなキャラ変を遂げるのか。