永田町は自民党総裁選(14日投開票)、立憲民主党と国民民主党の合流新党代表選(10日投開票)で党首選モード一色の中、異色の場外戦が行われる。「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首(53)が、先の東京都知事選での奇抜な政見放送が注目された後藤輝樹氏(37)と13日にキックボクシングルールでリング上でバトルを行うというのだ。国政政党の党首として、ぶざまな試合は見せられない立花氏は、新たな“剛腕伝説”を見せると意気込むが…。

 立花氏がリングに立つのは「hatashiai『コロナをぶっ壊す!』秋の戦い! 前代未聞の都知事『戦』開幕!」(13日、東京・新木場1stRING)。同イベントは、さまざまな因縁を持つ素人が、リングでガチバトルを繰り広げるものだ。

 立花氏と後藤氏の因縁は、2016年の都知事選にさかのぼる。政見放送で立花氏が「NHKをぶっ壊す!」で全国デビューを飾れば、後藤氏は放送禁止の下ネタワードを連呼し、2人はネット上で伝説と化した。

 17年の都議選にも出馬した2人は「選挙に興味を持ってもらいたい」という共通テーマがあり、合同の街頭演説会を開くなど仲むつまじかったが「(後藤氏は)俺の考え方についてこれなかったようだ」(立花氏)と決裂した。

 今年7月の都知事選でも両者は抱腹絶倒の政見放送を披露したが、街頭で同じ場に立つことはなかった。

 得票数では22人が乱立した中、立花氏が6位(4万3912票)に対し、後藤氏が8位(2万1997票)だった。

 2人が拳を合わせる大会を主催する「ライフサポート」代表取締役の古賀真人氏は「コロナ禍で自粛ムードの中、格闘技で皆が足を運びたくなるようなマッチメークをできないかとなった時、立花さんと後藤さんが過度な自粛反対派だったので実現した」と説明する。

 試合はキックボクシングルールで、1分30秒の2ラウンド制(延長あり)。ヒザ蹴り、ヒジ打ちは禁止で、フェースガード、グローブ着用が義務付けられる。

 勝負のポイントは体格差だ。立花氏が身長179センチ、体重95キロなのに対し、後藤氏は同170センチ、59キロで、36キロものウエート差がある。

 しかも立花氏は怪力エピソードに事欠かない。

「ゴルフは300ヤード超え、ボウリングでは一番重いボール(16ポンド)を剛速球で投げて、すごい音でピンが飛び散る」と秘書。高校生の時にはハンドボール投げで飛び過ぎて計測不能になり、ハンドボール部の顧問からスカウトされたとも。

 立花氏はこの試合に向けて「一切練習しない」と宣言。「虎がなんで強いかというと、もともと強いから。何もしないで勝つことで、カリスマ性を出すのも一興かな。この体がないとNHKとも戦えなかった」と余裕しゃくしゃくだ。

 一方、圧倒的不利に見える後藤氏だが、実は自衛隊入隊歴がある。公開練習では懸垂を軽々とこなし、ボクシング技術や持久力の高さを見せるなど、臆することなく試合オファーをのんだだけのことはある。

 古賀氏は「会場変更に伴い、今回のリングは前回よりも広くなった。体重差で立花さんが有利で、後藤さんは正面から行けば、虎に飛び掛かるようなもの。ただ、後藤さんが横に動いて削っていけば、若さとスタミナでチャンスは出てくる」と分析する。

 政局に影響を与えることはなさそうな異次元対決は、どちらに軍配が上がるか。