【この人の哲学】結成22年。M―1グランプリ決勝に進出するなどブレークから18年。昨今は“営業最強芸人”としても知られるテツandトモ。連載最終回は落語家・立川談志さんとの逸話を語る。M―1のステージでかけられたあの言葉の真意とは?
――連載第8回で「改めて話します」としていた立川談志さん(2011年没、享年75)との関係はどうだったのでしょう。02年の第2回「M―1グランプリ」決勝で、審査員の談志さんが「お前らはここに出てくるやつじゃないよ。もういいよ。俺ほめてんだぜ」と発言。見てる側は「?」状態でした
トモ 談志師匠と初めてお会いしたのは、私たちが出場した「爆笑オンエアバトル第1回チャンピオン大会」(1999年)です。師匠は特別審査員として出演されていて、声をかけてくださったんです。そして02年のM―1決勝、師匠が審査員を務められたのはこの年だけでした。あのお言葉があって、私たちはその場で直立不動になっちゃったんですけど(笑い)、終了後にすぐ師匠の楽屋に行きました。師匠は「俺の言いたいこと、わかってるだろうな」と。「はい。ありがとうございました」「ならいいや」でその場は終わりまして。
――ん? 会話はそれだけですか? 談志さんの発言の意図は…
トモ その後、舞台や立川流の新春寄席にゲストで呼んでくださり、すごくお世話になりました。うれしかった言葉がありましてね。師匠が「解散したくなったら、俺んところに来いよ」。
テツ「全力で阻止します」。こう言ってくださったんです。
――ということは、2人をめちゃくちゃ買ってたんですね
トモ 本当にありがたいです。もし解散したくなったら、今となっては天国に会いに行かなければならないので、大変ですけど(笑い)。
テツ「なんでだろう」が一時ほどウケなくなった時も「何を言ってるんだ。俺がいいと言ってるからいいんです。ほかに何が欲しいんですか? やり続ければいいんです」と。
――M―1での談志さんの言葉は、“ランク付けする必要はない芸だ”ということだったんですね
テツ だから僕たちは「なんでだろう」をいい加減にやったり、粗末に扱ったりはできないんです。あそこまで言ってくれた師匠に申し訳ないですから。
トモ 師匠と銀座でご一緒したこともありました。一軒行った後、娘のゆみこさんがやってらっしゃるお店へ行き3人で飲んだんです。ほかに一組お客さんがいるのを見て、師匠が「あそこ行って何かやってきな」とおっしゃりまして、「わかりました」とそこに行って「なんでだろう」をやりました。盛り上がって席に戻ると、師匠が「いいね。ありがとうね。これチップだよ」と私とテツに1万円ずつくださったんです。
――あのケチで知られた談志さんが!
トモ ゆみこさんも「考えられない! パパは飲み代も払わないケチなのに」と驚かれてました(笑い)。私たちの後に師匠も「俺も行くか」とその席に行かれて「ちょいと、小噺やりましょうか」と。ものすごく盛り上がってました。
――幸運なお客さんですね
テツ 師匠は僕らの結成10周年記念ライブにゲストで出てくださり「なんでだろう」を一緒に踊ってくれたんです。感激しました。
トモ 実はライブに出てくださると決まった時に、出演料のお話をしたら「ギャラはいりませんよ。500円のつくだ煮を用意してくれたらそれでいいです」と。
――ノーギャラ!?
トモ だから私たちも、いつか自分たちより若い芸人さんの周年ライブに呼ばれたら、師匠と同じことを言える芸人になりたいです。今のところ、誰かに呼ばれる予定はありませんが(笑い)。
☆テツアンドトモ 中本哲也(テツ)、1970年5月9日生まれ、滋賀県出身。石澤智幸(トモ)、70年5月10日生まれ、山形県出身。98年2月にコンビ結成。2001年国立演芸場花形演芸大賞銀賞受賞。翌年、金賞獲得。「なんでだろう~」は03年新語・流行語大賞「年間大賞」受賞。親子のユーモアコミュニケーション絵本「なんでだろう」(1000円+税、世界文化社)とCDアルバム「テツandトモの元気になれるのなんでだろう?」(1818円+税)が発売中。












