裸一貫から夜の世界で財を成し、新宿・歌舞伎町に日本最大のホストグループ「クラブ愛」を作り上げた“ホストの帝王”こと愛田武さん(本名・榎本武、元愛田観光社長)が25日午前3時すぎ、都内近郊の病院で息を引き取った。78歳だった。

 クラブ愛は豪華絢爛な“夜の城”として評判となり、店には連日、長蛇の列ができる歌舞伎町の名所となった。城咲仁(41)などの人気者も輩出し、愛田元社長はホストブームの仕掛け人としてメディアに引っ張りだこの億万長者として名をはせた。

 店には有名芸能人も多数来店してにぎわい、その豪放磊落な生きざまはドラマや映画化された。また、ホスト文化の健全化に尽力し、ホストクラブ協力会初代会長を務め、歌舞伎町の顔役として知られた。一方、大の艶福家で次々に子供が名乗り出るなど、家庭ではトラブルに見舞われた。

 親しみやすい人柄と強力なリーダーシップで数百人の個性豊かな猛者たちをまとめ上げたが、大食漢で酒好きだったため、3度も脳梗塞をわずらって引退。そこに一族の覇権争いが勃発し、子供が次々に自殺。自身は都内近郊の老人ホームに追いやられて孤独な日々を過ごしていた。

 軽い認知症のような症状を示していたが、1か月半前に体調に異変が生じて入院。心臓にペースメーカーを埋め込み、胃ろうの処置を施した。

 親族によると「食べるとむせるようになり、食事も取れずに衰弱していたが、胃ろうにして顔色が良くなり、先週は言葉が出るようになった。ただ、ひどい貧血で原因が分からなかったので、今週にも詳しい検査を予定していた。快方に向かっているとばかり思っていたので残念。食べることが好きだった人なので、楽しみがなくなって嫌だったのかもしれない」という。

 喪主、通夜、葬儀とも未定で、社葬にする可能性もあるという。本紙にも何度も登場し、ユニークなコメントで楽しませてくれただけに、心からご冥福をお祈りしたい。