【夏の甲子園中止】高野連不信呼ぶ“地方丸投げ”現場サイドから反発の声続出

2020年05月21日 16時30分

昨年夏の甲子園大会開会式

 日本高野連は20日に新型コロナウイルスの影響で8月10日から甲子園で開幕予定だった第102回全国高校野球選手権大会と、代表49校を決める地方大会の中止を発表した。今後は各都道府県の高野連が独自で代替の大会を開催するなど、3年生最後の舞台を準備する動きがあるが、県高野連や現場サイドでは、やり場のない怒りや不満が充満している。

 オンラインで行われた記者会見は重苦しいムードに包まれた。大会会長の渡辺雅隆・朝日新聞社代表取締役社長は、感染リスクによる選手や関係者らの安全が確保できないとして「49の地方大会、甲子園で行われる全国大会は中止せざるを得ないと判断した」。中止の理由には休校と部活動の停止によって満足な練習ができていないことに加え、大会実施で学業にも支障が生じる可能性や、さらには医療現場の負担なども挙げられた。

 大会副会長の高野連・八田英二会長は、今春のセンバツに続く中止決定に「まさしく断腸の思い」であることを声を震わせながら強調。そして「高校野球生活最後の夏を迎える3年生のためにも、集大成の場となる試合の機会を何とか設けることはできないか、ぎりぎりまで検討してきた。だが感染拡大防止の取り組みが長期化し、感染の第2波、第3波への警戒を指摘する専門家がいる中で、選手や関係者の安全を最優先に考えた」とも述べた。

 とはいえ、せめて地方大会だけでも時期をずらして開催することはできなかったのか。八田会長は一部の県で地方大会に代わる大会を開催する動きがあることに「日本高野連としての方針はない。各地区の高野連の自主的な判断に任せる。開催についての相談に応じ、できる限りの財政的な支援もする」と話したが、感染者数の多かった地域では開催されない県が出てくるなど、足並みが揃わない可能性もある。

 実際、こうした高野連の“地方に丸投げ”姿勢に、現場サイドからは強い反発の声が上がっている。

 感染者数の少ない地域の有力校の指導者・A氏によると「大会主催者側は現場(各地域)からの意見を吸い上げたと言っていましたが、こちらとしては『地方大会もやる予定だし、全国大会もやってほしい』というニュアンスのことを伝えています」とのこと。しかし、高野連側からは何の説明もなく、事前に報道で伝わってきたのは「中止」…。「あの時は、自分の周りは誰もが皆“ウソだろ!”と絶句してました。こっちは最悪でも地方だけでもやってくれると思っていたのに。どこまで各地域レベルの意見が反映されているのか本当に分からない」と肩を落とした。

 また、別の地区の指導者からは「地方レベルの大会について『各地域に任せる』では、今のコロナ対策で政府が自治体に多くの判断を丸投げ気味にして国民から不満の声が上がっているところとまったく同じ。やっぱりコロナショックの中で開催し、何かあった場合の責任を取りたくないというところが大きいのではないか」という声も…。

 さらに地方独自の大会となることを「開催できる地方大会だけでも“夏の甲子園”の冠を残してほしかった。全国大会がなく優勝しても甲子園出場のキップが得られないにせよ“幻の代表校”として第102回夏の甲子園大会の記録には残る。それがあるないでは球児たちのモチベーションも大きく変わってくると思います」と、残念がる声もあった。

 それでも現場に近い各都道府県の高野連は、どうにか3年生に「最後の舞台」を用意しようと意を強くしている。

「各地域の高野連はその多くが地方開催をやる方向。知恵を振り絞って、それでも何かあったら一緒に責任を取ろうと、困難を乗り越えていこうとしています。それがトップの在り方ではないのでしょうか」(前出のA氏)

 夏の甲子園の大会中止は、太平洋戦争が深刻化した1941年以来79年ぶり3度目で、センバツと合わせて春夏連続での中止は史上初めて。全国の高校球児たちのショックは計り知れない。