〝ゴジラ監督〟誕生を阻むのは、米国のグリーンカードか――。巨人は日まで行われたDeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(東京ドーム)で2連敗。3年連続で同じ相手に屈し、今季を終えた。一夜明けた12日からは次期監督人事が焦点となる中、球団内の一部ではOBの松井秀喜氏(52=ヤンキースGM付特別アドバイザー)を待望する声も上がっている。しかし、実現には容易に越えられない〝トランプ米大統領の壁〟が立ちはだかっているようだ。
波乱のシーズンを経て、巨人が誰に次期監督の座を託すのかが今オフ最大の焦点だ。巨人は5月25日に阿部慎之助前監督(47)が長女への暴行容疑で逮捕され、翌26日に電撃辞任。急きょ指揮を任された橋上秀樹監督代行(60)はシーズン終盤まで阪神と優勝争いを繰り広げ、チームをリーグ2位へ導いた。ただ、橋上監督代行も今季限りで退任する見通しとなっている。
今後は次期監督の選定と交渉が水面下で進められる模様だ。巨人では〝不文律〟として「生え抜きかつエースか4番」が監督に求められる条件とされる。最有力候補には監督経験者の高橋由伸氏(51=元巨人監督)が浮上しており、さらに今季ディフェンスチーフコーチを務めた川相昌弘氏(62)らの名前も挙がる。一方、阿部前監督には編成部門を中心とした球団復帰の動きもあり、人事の行方は流動的だ。
そんな中、根強いのがレジェンドOB・松井氏の〝待望論〟だ。昨年6月3日に師匠の長嶋茂雄終身名誉監督(享年89)が死去した際には、生前に交わした約束があることを明かし「その約束を果たしたいなと思っています」と発言。現場復帰への期待を膨らませた。ただし、約束の具体的な内容は明かされていない。
その松井氏の監督就任に向け、大きな障害となりかねないのが米国の永住権問題だ。同氏周辺からは「日本で仕事をするとなればグリーンカード(永住権)を失うリスクがある。米国での子育てなど家庭のこともあるし、現時点での一番のネックはそこになるのでは」との指摘が飛び交っている。
松井氏は今年4月に退任した井端弘和前監督(51)の後任として、侍ジャパンの次期監督候補にも名前が挙がった。ただ、代表監督は巨人の指揮官と異なり、年間を通じて日本を生活拠点とするとは限らない。当時は永住権への影響が大きく取り沙汰されなかったものの、巨人監督となれば事情は変わってくる。
米国の永住権は、同国を生活の本拠とする意思が前提となる。一般に6か月を超える国外滞在は再入国時の審査に影響し、1年以上になると永住者カードだけでは再入国できなくなる。出国前に申請する「再入国許可証」を取得すれば原則として最長2年間の国外滞在にも対応できるが、それだけで永住権の維持が保証されるわけではない。日本で長期間にわたり監督業に専念する場合、生活実態も判断材料となる。
政治的な要因も懸念材料だ。別の関係者はトランプ政権の移民政策に触れ「今は許されていることが来年には突然禁止される、なんてこともあるから、松井氏も身軽には動けないはず」と語り、今後の制度や運用の変化を不安視している。
巨人の監督ともなれば春季キャンプから公式戦、ポストシーズンに加え、ドラフト会議やオフのイベントまで1年の大半を日本で過ごすことになる。まして複数年にわたって指揮を執るとなれば、米国で築いた生活との両立は簡単ではない。
〝ゴジラ〟が巨人の指揮官として再びユニホームに袖を通す日は訪れるのか。根強い待望論とは裏腹に、米国で築いた生活と永住権を巡る〝現実の壁〟は、そう簡単に越えられそうにない。












