宿敵との決戦を前に、あの〝新庄節〟が妙におとなしい。日本ハムは12日のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦(ベルーナ)で西武を4―1で下し、3年連続でソフトバンクとのファイナルステージに進出した。だが、新庄剛志監督(54)が見せたのは、打倒王者への威勢のいい宣戦布告ではなく、意外なほどの平静。そこには〝死んだふり作戦〟が隠されているのか。

 初戦を延長サヨナラ負けで落としながら、第2戦を1―0で制して逆王手。12日の決戦では投打がかみ合い、敵地で西武を退けた。

 指揮官は「よくやってくれました、みんな」と選手たちを絶賛。3試合で計4失点に抑えた投手陣についても「今回はピッチャーの踏ん張りが、ものすごく大きかったですね」と勝因に挙げた。

 ところが、14日からみずほペイペイドームで始まるソフトバンクとの決戦に話が及ぶと、様子が違った。今季の直接対決は5勝18敗2分け。しかもリーグ3位に終わり、王者には13ゲーム差をつけられた。今季からの新制度によって相手に2勝のアドバンテージが与えられるため、日本ハムは最大7試合で5勝しなければ勝ち上がれない。

 それでも新庄監督は「シーズン中はカモだったけどね。(シーズンとは)逆があるからね」と語る一方「リーグ優勝してないですもん」「そこが1番ですよ。そこは譲れんね」とペナントレースの悔しさを強調。いつもの強気一辺倒とは一線を画した。

 周囲から「死んだふり作戦ではないか」との声が上がるのも無理はない。9月末のシーズン総括では、ソフトバンクに大きく負け越した一因を「僕がみんなにプレッシャーをかけ過ぎましたね。シーズン前から。打倒ソフトバンクっていうところでね」と反省していた。

 むやみに大言壮語を重ねれば、ナインの肩に余計な重圧を背負わせかねない。だからこそ今は、あえて熱を抑え、挑戦者として静かに敵地へ乗り込む構えなのか。実際、秘策については「常に考えている」と明かしながら、手の内をさらすことはなかった。

 絶望的な数字を前にした不気味な平静。その裏に勝負手が潜むなら〝奇跡〟の下克上も絵空事とは言い切れない。