24日のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第32回で、主人公の蔦重こと蔦屋重三郎(横浜流星)が長屋の住民から殴る蹴るの〝集団リンチ〟を受けるシーンが流れた。
天明6(1786)~7年、流通が滞り高騰するコメ問題が深刻化。大坂で始まった庶民による米問屋などへの打ちこわしの波が江戸に及ぶ。蔦重と親しい新之助(井之脇海)ら長屋衆も殺気立ち、決起した。蔦重は近く「お救い米」が出ると訴え、打ちこわし回避を図る。お救い米配給は老中を退いた田沼意次(渡辺謙)の発案だが、蔦重は「引っ込んでろ、田沼の犬が!」と殴られ、倒れ込む。
うずくまっても「米が出る」と力説する蔦重に長屋住民たちはキックの雨嵐。制止に入った新之助も、コメ問題の理不尽さと利権の構図への怒りをぶちまけ、田沼が問題の根源だとなじる。かろうじてその後、蔦重の機転で打ちこわしは起こらずに収まった。
X(旧ツイッター)では「久々に蔦重リンチシーン」と話題に。蔦重はこれまで、育ての親の吉原女郎屋亭主・駿河屋市右衛門(高橋克実)から鉄拳制裁や階段突き落とし、たる詰めなどに遭ってきた。「江戸のメディア王」になるべく出版業で独り立ちしても暴力に見舞われた。
大河ドラマでは主に、戦国武将や幕末志士ら英雄が主人公と描かれる。いっぱしの大人になってもボコられる蔦重は異例の主人公に違いない。
今回のリンチは、蔦重がお救い米の「報道」に関わったことがきっかけとなった。コメ問題を収めるべく、いまだ影響力を保持していた田沼はお救い米配給を考えた。側近の三浦(原田泰造)が告知のため、蔦重に「刷り物」を頼む。それは日ごろ制作していた黄表紙などでなく、「読売」と称するものだった。瓦版のような印刷物を、現在でいう新聞号外のように配る。その際、内容を大声で叫んだ。
読売は打ちこわしをあおる話ばかりなので、逆にお救い米のニュースで鎮めるのが狙い。蔦重らはそれを刷ってばらまいたが、肝心のコメが出てこない。田沼に代わる実力者の松平定信(井上祐貴)が二枚舌を使い、コメを送ると言いながら、確執ある田沼を信用せずに裏切る形となったとみられた。
蔦重ら出版業者の寄り合いでは「読売」が連呼された。読売新聞社は自社サイトで「題号は、江戸時代の『読みながら売る』瓦版の販売方式に由来」と説明。蔦重の時代とつながっていた。












