「はじめの一歩」で知られる漫画家の森川ジョージ氏が1日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、同作の映像化をめぐるやりとりを明かした。

 昨今、人気漫画「セクシー田中さん」の著者・芦原妃名子さんの訃報を機に、漫画のメディアミックスに対する議論が盛んに行われている。

 そんななか、森川氏は「漫画家さんの特に新人さんに向けて」と切り出し、自身の経験談を紹介。

「はじめの一歩は連載開始してわりとすぐに何社からかアニメ、映画の話がきました。そういうことに全然興味がなかったのでお断りし続けました」と明かした上で「10年ほどして大勢で会いに来てくれた会社がありその熱意に頷き〝40巻買ってくれた読者を失望させないでほしい〟という条件を出しました」と映像化を許可したのだという。

 ところが「2話目を観てすぐに〝約束と違う、今すぐやめてくれ。やめないなら僕が連載をやめる〟と制作会社言いに行きました」とトラブルに。その時の様子について「関係者全員パニックです。でも自分は納得いかなかった」と振り返った。

 その後「会議の末〝必ずクオリティを上げる〟という言葉を貰いとりあえずは引きました」と映像化は続行。結果、「その後素晴らしいデキになり信頼関係ができて脚本チェックもしなくなり全面的にお任せしました。本当に素晴らしかったので初代、二代目の監督にもお礼を言いました」と、納得のいく作品が完成したという。

 森川氏は「一生懸命やってくれているのは承知の上だったので〝申し訳ない〟という気持ちと〝納得できない〟という気持ちが入り混ざり、しかし優先すべきは読者だと自分に言い聞かせ行動しました」と回想。

 今回の問題との共通点を見い出すかのように「走り出したものを止めるのはエネルギーを使うし勇気がいります。自分もあの時の心労は思い出したくもないです」「自分は原作者が偉いなどと言いません。しかし作品と読者を守れるのは原作者だけで、その責務があります。尊敬と感謝を忘れずに、そして堂々と自分の意見を言ってほしいと思います」と訴えた。

 一方で「原作を改変、脚色して成功した例も山ほどあります」とし、「信頼関係ができた後は自分もそうでした。そもそも漫画と映像では演出方法に大きな違いがあり原作そのままというのは至難の業です」と証言。最も重要なこととして「原作者を含め全員が尊敬と感謝をもって携わることが一番なのだと思います。感謝の優先順位ですが漫画家の場合、圧倒的に読者です。そのことを忘れずに。これは自分だけの主観的な意見なので一つの参考としてとどめておいて下さい」とつづった。