ボートレース徳山のSG「第33回グランドチャンピオン」が20日に開幕する。今大会もボートレースファン歴45年の元天才ジョッキー・田原成貴氏(64)によるSG恒例の初日ドリーム戦予想をお届けする。開催前、数十年ぶりに徳山ボートレース場に足を運んだ田原氏は懐かしそうに水面を見詰め、艇界屈指のターン力を持つ男に本命◎を打った! 

 SG成績上位者が集まる大会だけあって、本当にいいメンバーが揃った。まさに水面のプロフェッショナルによる至極の競演。1Rからメインレースまで、誰から舟券を買っても当たる気がする。他のSGとは少し違う高揚感と緊張感が漂っている。

 中でも初日ドリーム戦は圧巻だ。現ボートレース界の勢力図を考えた時、そのド真ん中にいる猛者ばかり。さて、誰を軸にして舟券を買おうか――。予想する側としては実に悩ましいが、オレは3号艇・毒島誠選手(群馬)の「旋回力」に懸けたい。

 普通に考えれば1号艇の池田浩二選手(愛知)から買うべきだろう。なにせ池田選手のインの強さは半端ではない。オールスターのドリーム予想の際も書いたが、最近はさらにイン逃げの精度が上がったように感じる。だが、2走前の蒲郡68周年でFを切ったこともあり、初日はスタートのリスクを最小限に抑えるだろう。ちょっとシビアに見立て、今回ばかりは印を軽くさせてもらうことにした。

 で、毒島選手だ。今大会もターンが優れた選手は複数いるが、中でもオレは毒島選手のターンがものすごく好きだ。言葉で表現するのが難しいが、豪快さの中に「美」がある。豪快なターンには時として荒々しさが付きまとうが、彼のターンには力強さと美しさが同居している。速くて、キレがあって、クリーン。舟券の当たり外れを超越した芸術といっても過言ではない。

 そのターンは1Mを魅了するが、道中でも威力を発揮する。覚えているだろうか。5月のボートレースオールスターの初日ドリーム戦。この時も1号艇・池田選手、3号艇・毒島選手の並びだった。1Mはまくり差しが不発に終わってバックストレッチでは4、5番手と後手に回った。しかし、2Mでは真骨頂の全速ターンがさく裂。前を行く2号艇・西山貴浩選手、4号艇・馬場貴也選手の艇間を切り裂いて2、3番手に浮上した。2周1Mでは一転して冷静な差しハンドル。先に回った西山選手の懐を突いて2着を確保した。ボートレースはとかく「1Mで勝負が決する」と言われるが、毒島選手は最後まで夢を持たせてくれる。アタマだろうが、ヒモだろうが、レースが終わるまでワクワクしながら舟券を握り締めることができる。これほど興奮を長続きさせてくれるレーサーはいない。

 余談になるが、このほど数十年ぶりに徳山ボートレース場に足を運んだ。当地が誇るレジェンド・今村豊さんと対談する機会を得たのだが、その席で水面を知り尽くす今村さんから「徳山は日本一バックストレッチが広いから、果敢に握って攻めても対岸にぶつかる怖さがない」という貴重なレーサー心理を聞くことができた。もちろん一流選手が集まっているので一筋縄にはいかないが、今大会はドリーム戦の毒島選手をはじめ、1Mで握って攻めそうな選手にターゲットを絞って舟券を買ってみようと思う。全速ターンの申し子と言われ、ボートレースの常識を変えた男へのオマージュを込めて。