【今週の秘蔵フォト】この人の笑顔をテレビで見ない日はない。某携帯電話会社のCMで「白戸家のお母さん」を演じる樋口可南子だ。1980年に「戒厳令の夜」で映画デビュー。81年「北斎漫画」では大胆なヌードを披露。83年谷崎潤一郎原作の映画「卍」ではレズビアン役、87年に山田詠美原作の映画「ベッドタイムアイズ」に出演し、常に世間に話題と波紋を呼ぶ器の大きい女優だった。
その樋口にとってデビュー作にして主演作となったTBS系の昼の帯ドラマ「こおろぎ橋」は78年10月からスタート。同年9月24日付本紙では、デビュー作を撮影中の樋口のインタビューが掲載されている。当時、女子美術大2年の19歳。77年12月に銀座のおしるこ屋でアルバイトをしていた時にTBS関係者にスカウトされたという。
「19歳の私が20歳前後の先生の役を演じるのはいいんですが、その後の女将さんの役をやるとなると不安で…」。同作は北陸の小さな町の戦後の混乱期を舞台にしており、若い女先生、旅館の女将と女性のたくましい生きざまと清さがテーマになっていた。
山中温泉のロケでは生徒たちや母親たちの拒絶反応に遭って村から出ていこうとするが、先生の愛情に気がついた生徒たちが呼び戻しにやってきて橋の上で抱き合うクライマックスシーンの撮影が行われた。「リハーサルの時から涙がポロポロこぼれて大変だった。まさかこんな大役を自分がやるとは思わなかった」と語っている。炎天下の中でも粘り強く演じる樋口の役者根性にスタッフがトリコになったとの逸話も残っている。「私は平凡に生きたくない。突っ張ってみたかったのかもしれませんね」との理由で新潟から単身上京。女子美術大に入学したのもそのためだった。芸能界に入るまでは「美術館に勤めるのが女の人生」と決めていたようだ。
デビュー作は好評を呼び、その後映画界へ。エキセントリックな魅力でファンを魅了。一流女優となった。今でも「白戸家のお母さん」が見せるすてきな笑顔には、往年の美しさが残されたままだ。












