相次ぐ電車内の凶行で、テレビ界がまさかのとばっちりを受けている。

 服部恭太容疑者が、京王線特急の京王八王子発新宿行きの電車内で人を刺し、車内に放火したのは先月31日のこと。ハロウィンで沸く人々をあざ笑うかのような犯行に世間は騒然となった。

「走行する電車内は密室状態。逃げ惑う乗客たちでパニックになりました。特徴的だったのは、服部容疑者が映画『ジョーカー』を思わせる派手なスーツを着ていたことです。警察の取り調べに対し、同容疑者はジョーカーへのあこがれを口にしています」とは捜査関係者。

 2019年に公開された米映画「ジョーカー」は「バットマン」シリーズに登場する悪役ジョーカーをベースにしたオリジナル作品だ。精神的な問題や貧困に苦しむ主人公は、コメディアンを目指すものの、自分の意思に関係なく突然笑い出してしまう病気を患い、やがて常軌を逸していく。

「ジョーカーを演じたのは名優ホアキン・フェニックス。世界中で大ヒットし、この作品でホアキンは米アカデミー賞主演男優賞を受賞したばかりか、同作は世界三大映画祭の一つ、ベネチア国際映画祭の最高賞の金獅子賞を受賞しています」(映画関係者)

 ところが、そんな名作が〝完全お蔵入り〟の大ピンチだという。あるテレビ関係者がこう嘆く。

「もう地上波での放送は無理ですよ。容疑者が憧れたように、映画ではジョーカーが電車内で人を殺害するシーンがある。しかも、最近同容疑者にならうかのように電車内での凶行が相次いでおり、完全にお蔵入りになるでしょう。放送すれば『犯罪を助長するつもりか』と批判されかねませんからね」

 もともと同作はR15指定。地上波放送のハードルは高かったが、「うまくやれば可能だったはず。スティーブン・キング原作の『IT/イット』もR15指定だったにもかかわらず、テレビ用に編集することで地上波放送を実現しています。視聴率も計算できたんですが…」(同)。

 金獅子賞受賞作品がお茶の間に届けられないのは残念と言うしかない。