28日に胃がんのため67歳で死去した女性漫才コンビ「今いくよ・くるよ」の今いくよ(本名・里谷正子)さんの通夜が29日、京都市内の斎場で営まれた。最期をみとった相方の今くるよ(67)も取材に応じ「日本一の相方やった」と涙ながらに語った。いつも笑顔が絶えなかったいくよさんは、若手時代の「ダウンタウン」浜田雅功(52)、松本人志(51)が恩義を感じるほどの言葉をかけていた。


 いくよさんの通夜は密葬で営まれたが、約100人が参列。誰からも愛されたいくよさんの人柄が感じられた。


 いくよさんらしい逸話はいくつも聞こえてきた。今や大物となった「ダウンタウン」との秘話だ。お笑い関係者は「ダウンタウンは養成所のNSC1期生としてすぐにスターになった。当時は弟子からきつい下積みを経て表舞台に立つ人が多く、テレビ出演で人気に火がつき、一気に売れていったダウンタウンは実はやっかみの対象になっていたんです」と語る。


 だが、2人を早い段階で認めていたのがいくよさんだった。


「いくよさんは『しっかり漫才でも賞を取れるんやから大丈夫。しっかりやり』とエールを何度も送っていたそうです。2人もいくよさんとその言葉を意気に感じていた。今のダウンタウンの活躍も、いくよさんの理解があったからかもしれません」(同)


 29日、いくよさんの死去を受けて、松本はツイッターを更新した。


「コンビとして想う。。。 逝くほうと残るほうどっちが辛いかなー 御冥福をお祈りします」と独特な表現でくるよを気遣いながら、いくよさんの死に思いをはせた。若き日の浜田・松本にかけた、いくよさんの言葉が、根っこにあるのは間違いなかった。


 通夜の会場で、報道陣の前に現れたくるよは「絶対に人の悪口を言わない。怒った顔を見たことがない。すばらしい相方やった。最後まで笑顔やった。向こうでいろんな人、笑わしてあげてや」。最後に交わした会話も、これぞ漫才師だった。旅立つ3日前、看護師による朝の検診で「里谷正子さん」と声をかけられると、いくよさんは「はい! 里谷正子、28歳です」とボケたという。これには看護師もつい笑ってしまった。くるよは隣で「ナイスギャグや!」と返したという。これが最後の“漫才”となった。くるよは「漫才師やね」と笑いに対して貪欲ないくよさんを思い出し、笑顔もみせた。


 ひつぎのいくよさんは“らしさ”全開。メークが濃いことで知られたいくよさんだけに「大きな付けまつげを付けた。アイラインも。メーク濃いめできれいです」とくるよ。参列した宮川花子(59)は「この世界に入って、いくよ姉さんの素顔、見たことなかったんですけど、最後も見れませんでした。天国に行くのにまつげを付けていく人は初めてじゃないですか」としんみり笑わせた。


 漫才ブームの時代にともに活躍した漫才師たちも悲しみにくれた。西川きよし(68)は「売れていく過程を見て、よかったなって心から喜んであげられるコンビは珍しかった。いくよ・くるよさんぐらい。ええ人間でしたね。なかなか、この厳しい芸人の世界で珍しい」と大粒の涙を流した。


 ザ・ぼんちはいくよさんの最後の舞台となった5月11日、NGKの舞台に共に上がった。里見まさと(63)は「同じ時代を一緒に頑張ってきた仲間ですから、ただただ、びっくりしている。言葉がないです。手足がもぎ取られるよう」と言い、ぼんちおさむ(62)は「一心同体というか、いくよさんにはくるよさんが、くるよさんにはいくよさんがなくてはならない存在。お互いが信頼し合っていた」と語った。


 くるよは今後について「今は考えられませんね。歌手なるとか女優なるとか決めたら、またすぐお知らせします」。亡くなる直前まで笑いを忘れなかったいくよさんの相方らしく気丈にボケた。

 最後にかけたい言葉を問われると「日本一の相方やった。ほんまに私は大幸せです。ありがとう。私、頑張るから見ててや。天国へ、思い切って真っすぐ行きよし」と目をはらしながら、顔をクシャクシャにした。


 女性漫才コンビの礎を築いたあの漫才はもう見られない。