【Challenge! 新人選手】陸上自衛隊出身の井寺亮太「師匠みたいに大舞台で先行できるように」

2019年05月28日 15時42分

井寺亮太

 新人競輪選手紹介の「チャレンジ卒業にチャレンジ!」第2回は井寺亮太(27=福島113期)をピックアップ。陸上自衛隊出身の異色レーサーは幼きころの夢をかなえるために長崎→横須賀→福島と日本を渡り歩いた初志貫徹の男。スター候補生が集う113期で誰よりも競輪を愛するオールドルーキーは大きな舞台を夢見て一心不乱にペダルを踏み込んでいる。

 競輪選手になるのが夢だった。「速いな。格好いいな」。井寺は父親に連れていかれた佐世保競輪場でさっそうと駆ける選手に感動し、自転車に夢中になった。2004年アテネ五輪で井上昌己(長崎)が長塚智広(茨城・引退)伏見俊昭(福島)と組んだ自転車競技男子チームスプリントで銀メダルを獲得。少年は長崎が生んだスターに憧れた。「やっぱりすごい。これで競輪が好きになった」

 決意はしたものの道のりは平坦ではなかった。「長崎は自転車が盛んでなかったためしっかり体を鍛えようと自衛隊に進んだ。団体生活で全寮制も競輪学校に似ているし、いいんじゃないかな」と神奈川県横須賀市の陸上自衛隊少年工科学校(現・高等工科学校)に進学。16歳から自衛官の訓練を受けながら勉学にも精を出した。

 自衛隊には8年在籍。肉体的にも精神的にも鍛え抜き「24歳(16年)の12月に退職して適性試験枠で合格者を輩出していると有名な福島の大谷ジム(大谷トレーニングセンター)を訪ねた」。カリキュラムに沿ったトレーニングの成果もあり、競輪学校(現・日本競輪選手養成所)には一発合格を果たした。

 そして、昨年7月前橋で念願のプロデビュー。当時26歳。自転車ざんまいの同期と比べれば、回り道だったが「最高ですね。こんなに楽しいとは思わなかった」と話す表情はあどけない少年時代の面影を残したままだ。

 もうすぐ1年。「自分の展開だったり、先行に持っていくのが難しい。駆け引きや技術が要るのを実感している」と毎日が勉強だが、ファンあっての競輪の思いは不変で「自分もお客さんだったので予想して当たるのがうれしかった。(ファンの)期待に応えるためシンプルで分かりやすい競走を心掛けています」。地脚タイプのためダッシュ力強化が当面の課題。「ダッシュを上げていければスピードもつくし、ゆくゆくは先行で残れる」

 夢はかなったが、ここがゴールではない。新たな目標が次々と生まれてくる。「先行でどんどん強くなって、師匠(飯野祐太)みたいに大舞台で先行できるようになりたい」。27歳のオールドルーキーはまだまだ夢の途中だ。


 ――趣味は

 井寺 畑ですね。自衛隊の時から畑とか土いじりが好き。奥さん(晶臣夫人)が知り合いから貸してもらった畑でジャガイモとかピーマンを育てています。これからはゴーヤーかキュウリをやろうかと思ってます。

 ――結婚している

 井寺(競輪学校)在学中にしました。自衛隊の時から交際していたんですが、合格が決まって、福島の自宅に住んでもらって、そんなこんなしてたら、子供ができちゃって…。奥さんの誕生日(2月23日)に婚姻届を出してもらいました。

 ――休みの日は

 井寺 土いじりと、奥さんには熊本から来てもらっているので、旅行感覚というか、今のうちに行けるところに行こうと、東北地方をメインに回っています。

☆いでら・りょうた=1992年5月7日生まれ。長崎県出身。福島県所属。113期生として2018年7月に前橋競輪場でデビュー。身長178センチ、体重83キロ。師匠は飯野祐太(90期)。