主演の神田沙也加さん(享年35)が北海道公演中に急逝し、札幌での2公演が中止となったミュージカル「マイ・フェア・レディ」のキャスト変更が21日、製作の東宝から発表された。

 主役のイライザとヒギンズ教授、そして御曹司フレディは、神田さん、寺脇康文、前山剛久の「チームK」と、朝夏まなと、別所哲也、寺西拓人の「チームA」のWキャストだった。これが25日の山形公演から、来月末の千秋楽までの24公演は「『チームA』にて、全公演を務めさせて戴くことといたしました」。寺脇と前山は降板した。

 寺脇はコメントを寄せ「舞台人として、どうあるべきか、本当に悩みました。プロ意識に欠けるのかもしれません。それでも、イライザとヒギンズの二人三脚で作ってきたこの作品をこのまま続けることは今の僕には難しく、東宝さんをはじめとするカンパニーの皆さんもそのわがままを受け入れてくれました」と説明した上で降板を謝罪。

 寺脇はキャストの中で一番長く同ミュージカルに出演していて、2013年、16年、18年に続く今年が4度目のヒギンズ教授役だった。「自分にとっても本当に大切なこの作品」だといい、朝夏・別所コンビに「最大の感謝とともに、千穐楽までの完走を祈ります」とエールを送った。

 いっぽう朝夏は「私の宝塚退団後の初ミュージカルが本作品で、さぁちゃん(神田さん)からたくさんのことを教えてもらったり、他愛もない話をしたり、すぐに打ち解けて仲良くなりました。生き生きとイライザを演じるさぁちゃんが眩しくて、歌声も大好きでした。今、思い浮かぶのはさぁちゃんの笑顔です」と故人を偲び、キャストやスタッフらの気持ちをこう代弁した。

「上演か中止か、どちらの決断が下されてもきっと様々な方々のお気持ちが複雑に交錯することもあるかと思います。けれどこの作品を愛する皆さまの気持ちも一緒にすべてのカンパニーキャスト、スタッフが一丸となり『マイ・フェア・レディ』を続けていくこと、この作品を全国の皆さまにお届けしたい…それがみんなの願いです」

 東宝は「『チームK』の公演を楽しみにされていたお客様におかれましては大変ご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございません」と詫びた上で「広く日本のエンタテインメント界に多大な功績を残された神田沙也加さんに敬意を表し、心からの哀悼の意を捧げます」とキャスト変更告知を結んでいる。

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