吉村府知事 横山やすしさん風“イキり芸”にあやかれなかった? 「大阪都構想」反対多数で否決

2020年11月02日 11時26分

自身のツイッターに横山やすしさん(左)をほうふつとさせる黒タートルネック姿を投稿した吉村府知事(右)

 大阪市を廃止し、4特別区を新設する「大阪都構想」の住民投票が1日行われ、反対多数で否決された。2015年の1回目の投票に続いて、市民から「NO!」を突き付けられた賛成派の大阪維新の会の松井一郎代表(56=大阪市長)は「すべて私の力不足」と敗戦の弁を述べ、市長職を23年の任期満了まで務めた後に政界引退すると表明した。維新の“敗戦”をめぐっては、吉村洋文代表代行(45=大阪府知事)の人気と力不足を指摘する声も上がった。

 橋下徹元大阪市長が政治生命をかけて投票に臨んでから5年。都構想を「一丁目一番地」に掲げ、地元大阪での選挙で圧倒的な強さを誇る維新は、橋下氏に代わり松井氏と吉村氏の看板で再挑戦したが、市民は再び「反対」の審判を下した。

 結果を受け、松井氏は「僕の力不足。力及ばずということ。これだけ大きな戦いを2度挑んで、2度負けた」と話し、「市長の任期をもって僕の政治生命は終わります。任期満了まで務め、後進に次の世代をしっかり務めてもらいたい」と政界引退を明言した。

 吉村氏も「2トップでやってきた僕の力不足。率直に政治家として受け止めたい。今後は、任期満了前にどうするか判断したい」と語った。

 住民投票の開催が決定したころは、新型コロナ対策での吉村人気の追い風や、創価学会を支持母体に持つ公明党が前回の反対から今回は賛成に回ったことで、賛成派の優勢とみられていた。しかし、告示以降、反対派が盛り返し、最終的に市民が「NO」を突き付けたのはなぜか。

 市政関係者は「そもそも都構想の設計案の雑さと説明不足がある。それに、吉村人気と言われていたが、実際は前回反対した人を賛成に翻意させるほどの人気はなかったということ」と指摘し、こう続ける。

「橋下氏や松井氏は演説もうまいし、ケンカの仕方も分かっているが、吉村氏はヘタ。『就任当初から“イキり”慣れていない吉村氏の口をゆがめた話し方は、学会の婦人部からも不評だった。誰のアドバイスでやってる若作りなのか知らないが、眉毛も細すぎる』と学会関係者に言われるくらい。公明党は今後の選挙で維新から刺客を立てられるのが嫌で賛成に回ったが、もともと橋下氏にボコボコにやられてた学会員は維新に対する嫌悪感が強かった」

 今回、SNSやユーチューブを駆使した運動が活発化。反対派の関係者は「若者は維新支持と言われてきたが、NHKの調査でも10代20代はそれほどでもなかった。今の若者はテレビも見ないし、SNSなどでいかにアピールするかが大きかったのでは」と話すように、情報戦でも差が出た。

 反対派のれいわ新選組は連日、ゲリラ街宣で具体的に数字を挙げ、賛成派の矛盾点を突くとともに、山本太郎代表が出演する動画「仁義なき都構想」をユーチューブに公開。山本氏がかつて出演していた「ミナミの帝王」ばりに仕立てられた動画は「分かりやすい」などと話題になった。

 一方で、吉村氏も選挙戦終盤で自らが出演する「都構想ワンポイント講座!」と題したツイートを19本投稿。黒のタートルネック姿で訴えたのだが、府政関係者はこう話す。

「タートルネック姿の動画を見たときは、横山やすしさんかと思いましたよ。そんなに寒くもないのに住民投票直前にハイネックを装備したのは、やっさんの“イキり芸”の神髄にあやかり、街頭演説で笑いの神に降臨してもらいたかったんでしょうか」

 援軍のはずの学会、支持層とみられた若者、そして笑いの神も反対だったのかもしれない。