終戦から76年を迎え、身をもって戦争を知る人が急速に少なくなる中、日本ボクシング連盟12代会長の山根明氏(81)も戦争体験を告白し、注目を集めている。

 山根氏が自らの経験を打ち明けたのは、戦争体験者の言葉をつづった書籍「わたしたちもみんな子どもだった~戦争が日常だった私たちの体験記~」(ハガツサブックス)。同書は、玉音放送の聴取率が100%近かったことを知った著者の和久井香菜子氏が「1945年8月15日、正午。玉音放送をどこで聴きましたか――?」と80代後半~90代の人々に取材し、まとめ上げたもの。山根氏以外にも、SONY元副社長の盛田正明氏(94)ら18人が当時の記憶を赤裸々に語っている。

 山根氏は終戦までなんの疑問もなく「日本人」として生きてきたが「日本が負けたとたんに世界が変わった」と振り返る。憲兵隊の仕事をしていた父を日本に残し、母と兄弟と共に朝鮮に渡ると、今度は朝鮮戦争を体験。「10歳にして2度も戦争を体験している人ってあんまりいないと思う」と語った。

 2度の戦争体験から「戦争は大人の弱い者いじめ。それに、勝っても負けても大きな犠牲を払う。日本でも政治家が判断を誤り多くの犠牲者が出た。国民は誰も戦争を望むことはないと思う。政治家には道を誤ることなく、大局的な視点で平和を守ってもらいたい」と平和を要望する。

 また、同書については「世界には今も戦争が続いている国がある。日本の今の若い人は戦争を経験していないから、理解してと言っても難しいと思うので、読んでもらえたら」と話した。