未確認生物の中には、はるか昔に生きていて今は絶滅している生物が生き残っていた、とするものが多い。ネス湖のネッシーも古代の海に生息していたプレシオサウルスではないかと昔から言われているし、カナダのオカナガン湖に生息するオゴポゴは絶滅した古代のクジラであるバシロサウルスではないかとする説も存在している。
確かに絶滅したはずの恐竜や古代生物が実在していたとなれば大発見だ。そんな恐竜が江戸時代の日本に現れていた!?と思える文献が存在している。
それがこちら、鹿児島県の奄美大島に伝わる「南島雑話」に登場するものだ。絵巻の中には長い顔に背中が黒く、腹部の赤い巨大生物が描かれている。大きな口には牙が並んで生えており、大きなカギ爪の生えた細い足に長く太い尾がある。
まるで昔の恐竜の想像図をほうふつとさせる絵になっているが、果たしてこの生物は何なのだろうか。
この「南島雑話」の記述によれば、この生物は島の方言で「アマダツ」、一般には「駝竜」と呼ばれているものだという。住用の内海という場所に存在していた浅瀬には、度々海からこのような大きな生物が這い上がってきて、草深いところで昼寝をしていたり潜んでいることが多かったという。あるとき、村の女性が馬の綱に木をくくりつけたもので捕らえることに成功し、男たちが総出で打ち殺したのだそうだ。
「南島雑話」にある挿絵はまさしくこの「アマダツ」退治の様子を描いたものだったのだろう。
さて、アマダツは退治されたが、その後をどうするか村人の間で議論になったようだ。さばいて食べることになったようだが、村の老人が「万が一、毒にあたってしまってはいけないから、老い先短い我々が先に食べてみよう。毒がないことが分かったら若者たちも食べればいい」と提案し、煮て食べることにした。すると、海亀に似た味で非常においしいものだったため、皆で分けることにしたのだそうだ。
結局、地元の人々に食べられてしまったアマダツだが、果たしてこの生物は何だったのだろうか。
まるで恐竜そっくりの見た目をしたアマダツだが、もう一つの名前「駝竜」に正体のヒントがある。実は「駝竜」は現在でいう「イリエワニ」のことなのだ。さすがに昔であっても日本にワニが生息しているとは思えないが、中国のヨウスコウワニやイリエワニについては文献や口伝で存在を知っていたらしい。
また、沖縄はじめ南の島にワニが泳ぎつくという事実は現代でも報告されており、2017年10月には同じ鹿児島県の加計呂麻島で小型のワニが発見されている。このワニは体長約60センチで、流木などに乗って東南アジア方面から流れてきたのではないかとされている。ワニはある程度の遊泳能力があるので、大陸から台湾を経由し、島伝いで渡ってきた可能性もある。
当時の人々が戦い、描いた生物は日本に生息していなかった外来生物だったのかもしれない。






