“不沈艦”の異名を取りプロレス界に一時代を築き上げた元PWF会長のスタン・ハンセン氏(68)が21日、社会的問題にまで発展した日大アメフット部の悪質タックル問題についての見解を本紙に明かした。

 ハンセン氏はプロレスラーに転向する前、ウエスト・テキサス大フットボール部で活躍した。1972年にNFLのボルティモア(現インディアナポリス)・コルツからドラフト指名を受けて入団するも、登録メンバーに入れず同年末に退団。その後はニューメキシコ州ラス・クルーサス中学校で教師兼フットボール部のコーチを務めた。それだけに、やはり今回の騒動には厳しい視線を向けていた。

「何てプレーだ。動画を何回も見直したよ。私も危ない場面は何度も経験したが、明らかに意図的なクリッピング(背後からの危険なブロック)でしかない。これは本当に危険なプレーだね…」

 20代前半でNFL選手と指導者の両方を経験したハンセン氏だけに、反則を犯した選手以上に、内田前監督の指導も断罪した。

「私は監督がこのプレーを指示したとは思いたくない。しかしそれが事実ならば、彼はフィールドを去るべきだ。誰が見ても違法な行為であり、間違いなく相手は大ケガを負ってしまうと分かっていたはず。指導者が指示したとすれば、これは問題だ」

 ハンセン氏が最も気にかけているのは当該プレーに関わった選手の今後だ。「反則を犯した選手も、反則を受けた選手も、いずれも20代の若者なんだろ? 彼らの未来を考えてあげることが一番大事なんじゃないかな。フィールドでの事故がこういう状況になった時、一番最初に守るべきものは何なのかを、大学関係者は深く考えてほしい。それは決して地位や役職や名誉などではない」と内田前監督や日大トップの対応のあり方を案じていた。