阪神は14日のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦・DeNA戦(甲子園)に0―2で零封負け。アドバンテージを含め1勝1敗となった。本紙専属評論家の伊原春樹氏は「藤川虎の〝攻撃策の乏しさ〟が敗戦に直結した」と指摘。7回の攻撃に疑問を投げかけた――。
【伊原春樹「新鬼の手帳」】悪い意味でシーズン中も何度も目にした「阪神らしい負け方」だった。近本、中野、森下、佐藤、大山と充実したメンバーをそろえる藤川監督は犠打、走塁などの小技を使わずとも〝選手頼み〟で勝ててきた。143試合続くペナントレースならそれでもいい。だがCS、日本シリーズなどの短期決戦となれば話は別だ。
象徴的だったのは0―2で迎えた7回。坂本と前川の連打で無死一、二塁としたが、近本は空振り三振、中野は中飛、森下も見逃し三振に倒れ、無得点に終わった。
好打者・近本なら通常は強攻策が正解だろう。だが最大6試合の短期決戦。中軸が沈黙する中、いつも通りの野球でいいのか。私はベンチがあえてセオリーを破るべきだったと思う。
近本に送りバントを命じ、一死二、三塁とする。得点効率を考えれば異論もあろうし、近本が近年、犠打を記録していないことも承知している。それでも普段はやらない作戦を仕掛け、「この回は何としても点を奪う」というベンチの意思を示すべきだった。1点でも返せば8、9回の展開も変わったかもしれない。短期決戦では勝負どころの決断が必要だ。
コーチ経験がないまま監督となった藤川監督は投手出身で就任2年目。攻撃のタクトに迷いも出て当然だ。だからこそ和田ヘッドや藤本総合コーチらが助言すべきだった。戦力頼みで戦ってきたチームの〝弱み〟が初戦で露呈した。
1980~90年代の黄金期西武では4番・清原ですら短期決戦の「ここ一番」で普段はやらない「送る、つなぐ」のチームバッティングを遂行していた。今、それができているのはパ王者のソフトバンク。このままなら阪神が日本シリーズに進んでも、間違いなく小久保鷹に再び返り討ちにされるだろう。
一方のDeNAはファーストステージの巨人戦(東京ドーム)で2戦7タコだったエンカーナシオンを外し、佐野&宮崎で中軸を組み直した用兵策が的中。佐藤の内角を攻め続けた平良―松尾の配球も含め、この一戦に覚悟をもって準備と対策を重ねてきたことが伝わってきた。横綱相撲にこだわり、土俵の外に押し出された阪神とは対照的だ。15日の第2戦は両軍にとって大きな意味をもつだろう。
(本紙専属評論家)












