甲子園を包んだのは、敗戦のため息だけではなかった。阪神は14日、DeNAとの「JERAクライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ第1戦(甲子園)に0―2で完封負け。1勝のアドバンテージを含め、対戦成績は1勝1敗となった。だが、この夜に残った最大の懸念はスコアではない。4番・佐藤輝明内野手(27)の途中交代だ。
8回先頭で打席に立った佐藤は、浜地の初球、内角低めのカットボールにバットを出し、左ヒザ付近に自打球を受けた。トレーナーが駆け寄ったものの、そのまま打席に立ち、中飛に倒れた。しかし、9回の守備から交代。自打球の影響と思われたが、試合後の藤川監督は「自打球ではないです」と否定した。
では、何が起きていたのか。4番がシリーズ途中で離脱する事態となれば、その影響は計り知れない。指揮官は「もともとあった症状だけれども、今日さらに強く症状が出たというところでは、報告を受けてます」と説明。本人からの申し出があったのかという問いにも「何度かそういう話がありました」と明かした。
突発的なアクシデントではなく、以前から抱えていた症状が大一番で悪化した形だ。試合直後の段階では医師のチェックを受けており、状態の詳細は不明。佐藤輝自身は「明日しっかり出られるように調整します」と話したものの、短期決戦が始まったばかりのタイミングで4番の状態が不透明となった。
試合そのものも重苦しい展開だった。先発・村上は初回一死から連続四球でピンチを招き、宮崎に先制の左前適時打を許した。6回二死からは佐野に右中間へソロを浴びた。6回3安打2失点の内容は責められるものではなかったが、リズムに乗り切れなかった。
打線も先発・平良を打ち崩せず、好機を生かせなかった。6回二死一、二塁では代打・木浪が空振り三振。7回も無死一、二塁としながら近本、中野、森下が凡退した。9回には一死二、三塁と一打同点の場面までこぎつけながら、近本、中野が倒れた。3番・森下、4番・佐藤輝もそろって無安打に終わった。
「チャンスのところで1本出なかったというところで、もう明日に切り替えるというところですね」
藤川監督の言葉に言い訳はなかった。昨年のファイナルステージは3連勝で駆け抜けた。この舞台で黒星を喫したのは就任以来初めて。それでも口調は変わらない。
「これはもう勝負ですから。3つ勝つというところですから。常に初めてなことだと思ってやっていますから。また明日」
日本シリーズ進出まで残り3勝。逆襲を期す虎にとって、4番の〝異変〟は今後の戦いを左右しかねない最大の不安材料となった。












