〝カネの力〟は3連覇への切り札か、それとも高くつく賭けに終わるのか。ドジャースの桁外れの選手人件費が、ポストシーズン4強の顔ぶれで浮き彫りになった。チームは11日(日本時間12日)にブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ初戦を落としたとはいえ、財力は別格だ。

 米スポーツメディア「フロント・オフィス・スポーツ」は12日(同13日)、各球団のぜい沢税算定上の年俸総額を比較。メジャー最高のドジャースは4億3310万ドル(約689億円)に上り、ブルワーズの1億5470ドル(約246億円)、レイズの1億1320万ドル(約180億円)、ガーディアンズの9260万ドル(約147億円)を合算した3億6050万ドル(約573億円)すら上回る。その差7260万ドル(約115億円)。3球団が束になっても届かない〝金満ぶり〟だ。

 もっとも、札束を積めば勝利まで保証されるわけではない。ブルワーズは年俸総額19位、ガーディアンズは29位、レイズも27位の低予算ながら4強に生き残った。金満王者が低予算の挑戦者に、足をすくわれても不思議ではない。

 これらの構図は月1日(同2日)に期限を迎える労使協定を巡る火種でもある。経営側は格差を理由にサラリーキャップ(年俸総額の上限)を求める一方、選手会は低予算球団の健闘こそ現行制度でも競争できる証拠と反論。MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは7月の時点で「低年俸球団が上位と同じ優勝のチャンスを持つとファンに考えさせるのは常識に反する」と主張していた。

 そして問われるのは、ドジャースの〝費用対効果〟だ。10年総額7億ドル(約1113億円)の契約を結んだ大谷翔平投手(32)は右上腕二頭筋と左ヒザに不安を抱え、地区シリーズでも本来の打棒を発揮できなかった。仮に今後復調の兆しを見せても、3連覇を勝ち取るまで重圧は消えない。

 巨額投資は歴史的偉業につながるのか、それとも「カネだけでは勝てない」と証明されるのか。〝689億円軍団〟の結末はグラウンドの外にも波紋を広げそうだ。