巨人のセットアッパー・中川皓太投手(32)が激戦をくぐり抜けたシーズンを糧に、ポストシーズンへ挑む。
左腕は今季は51試合に登板し、防御率2・56で24ホールドをマーク。昨季はチームトップの63試合に登板した鉄腕は、セットアッパー・大勢が離脱する〝緊急事態〟の中、田中瑛らと7、8回をつなぐ方程式の一角を担い、大車輪の働きで何度もチームを救った。
淡々と打者を抑える中川だが、その「鉄仮面」が土壇場で外れた。V争い佳境の9月23日の広島戦では、6回二死一、二塁のピンチでマウンドを引き継いだ。内野安打を許して満塁としたが、続く秋山を直球で空振り三振に仕留め、雄たけびと共にガッツポーズ。1日の阪神戦でもピンチを抑えると、眉間にしわを寄せながらほえた。普段は柔和な笑みを浮かべ、性格も穏やかな左腕。人が変わったような、力強い感情表現だった。
中川はこの場面を「試合数も少なかったですし、優勝のチャンスも結構大きかったので『ここをもうちょっと頑張れば優勝できるかも』というところで投げる。そう思うと、勝手に気持ちが出ていた。(そんな自分に)驚くとかはないですけど、それぐらい自分も優勝したいという思いがありました。あの場面で抑えるか抑えないかでは、全然違う」と振り返る。
143試合目まで優勝の可能性が残ったシビれるシーズンは、「経験にないかなとは思いますね」。自分の一球がチームの運命を変えるという極度の緊張と高揚感が、新たな表情を引き出した。
しかし、最後は悔しさが残った。3日のDeNA戦では、2点リードの7回に登板。一死二、三塁とピンチを招き、後を受けた堀田が勝ち越しを許した。チームは阪神に優勝を献上する屈辱の逆転負け。「抑え切って終わることもできなかった。やっぱりすごく悔しかったです」と唇をかむ。
「やってしまったことは切り替えて、次に向かうしかない」と理解はするものの「僕の場合は『切り替えられている』というよりは、無理やり切り替えるという感じ。じゃないと、やっていけない」と割り切れない感情も心の片隅には当然ある。
悔しさを胸にしまい、次のマウンドへ。「また任されたイニングを抑えることに集中してやっていくだけです」。経験豊富な左腕が、ポストシーズンでもチームのために腕を振る。












