〝不安〟ごとエースに託す覚悟だ。巨人はレギュラーシーズンをセ・リーグ2位で終え、10日から3位・DeNAとのCSファーストステージ(東京ドーム)に臨む。勝ち上がりを左右する第3戦までもつれた場合、戸郷翔征投手(26)を大一番のマウンドへ送り込む構想が浮上している。

 初戦は今季DeNA戦7試合で5勝1敗、防御率0・77の井上、第2戦はチーム最多11勝(9敗)、防御率3・27のドラフト1位左腕・竹丸が先発する見込み。若き〝W左腕〟の後を託す候補が、今季苦しみ抜いたエースだ。

 戸郷は不振で開幕二軍スタート。7月には左太もも裏の肉離れで離脱し、14試合で5勝3敗、防御率2・48にとどまった。直近9月29日の広島戦では9回途中2安打1失点と圧倒したものの、まだ完全復活を証明したとは言い切れない。

 しかも相手は因縁のDeNAだ。昨年のCSファーストステージ第2戦では初回に5点の援護を受けながら、その裏に5失点。3回5失点で降板し、チームも延長11回の末に敗れて2連敗で終戦した。今季もDeNA戦は2試合で0勝1敗、防御率9・00。9月15日には2回9失点、自己ワーストの4被弾と打ち込まれている。それだけに、OBや周囲から「負けられない第3戦を任せて大丈夫なのか」と不安視する声が出るのも無理はない。

 それでも、首脳陣側から見れば発想は逆だ。負ければ終わる極限のマウンドだからこそ、戸郷に託す意味がある。19歳だった2019年からCS、日本シリーズの修羅場を経験し、これまでポストシーズンでは計10試合に登板。20年日本シリーズでは3試合で5回2/3を投げて2失点に抑え、4連敗で敗退した巨人から敢闘選手賞にも選ばれた。23年WBCでは侍ジャパンの一員として世界一も経験している。こうした大舞台で積み重ねた場数は井上、竹丸ら若手にはないエースの武器だ。

 ここでエースが勝てば、チームはファイナルステージへ勢いを持ち込める。戸郷自身も昨年の雪辱を果たし、復活への最後の壁を突き破れる。不安だから外すのではない。負けられない試合で勝たせてこそ、背番号20は本当の意味で戻ってくる。巨人首脳陣が描く〝エース再生〟の勝負手が、短期決戦の命運を握りそうだ。