足元の不振と、シーズン全体を通した評価は必ずしも一致しないようだ。ドジャース・大谷翔平投手(32)はポストシーズンに入っても、なお本来の打撃を完全に取り戻し切ってはいない。それでもレギュラーシーズンを振り返れば、ナ・リーグのハンク・アーロン賞で4年連続受賞の最有力候補に挙がるだけの数字を残している。

 米ドジャース専門メディア「トゥルー・ブルー・LA」は6日(日本時間7日)、大谷が同賞の最終候補10人に入り、受賞は「ほぼ確実視されている」と報じた。同賞は各リーグで最も優れた攻撃選手に贈られ、大谷はエンゼルス時代の2023年から3年連続で受賞している。

 今季はレギュラーシーズン135試合で打率2割7分5厘、30本塁打、81打点、89得点、81四球、出塁率3割7分7厘、長打率5割1分2厘。リーグ平均を100とする総合打撃指標のwRC+も139を記録した。普通なら文句なしに球界屈指の強打者と評される成績だ。

 ところが、大谷の場合はどうしても見劣りしてしまう。ドジャース移籍1年目の24年には54本塁打、59盗塁。25年も55本塁打を放った。あまりにも高過ぎる基準を自ら作り上げた結果、30本塁打でも「物足りない」と映ってしまう。同賞の最有力候補とされている現実は、今季の数字が決して低水準ではないことの何よりの証明でもある。

 無論、5日(同6日)現在の状態が「深刻」なのは間違いない。8月18日(同19日)を最後に本塁打がなく、レギュラーシーズン終了後のポストシーズンも含め94打席では打率1割6分、出塁率2割7分7厘、長打率1割9分8厘。左膝の炎症と右上腕二頭筋の負傷で負傷者リスト(IL)へ入り、9月23日(同24日)の復帰後も29打数7安打。地区シリーズでも8打数2安打にとどまり、ロバーツ監督は打順をさらに下げる可能性にまで言及した。

 それでも1シーズンを通した評価では最高峰の打撃賞が目前にある。ここ1カ月半の低迷だけを見れば「不振」でも、年間成績を見れば球界トップクラス。その落差こそ、大谷が背負う期待の大きさを物語っている。

 求められる水準が高過ぎるがゆえの〝不憫(ふびん)〟とも言える状況だ。11月11日(同12日)の受賞者発表で4年連続の栄冠を手にすれば、「30本塁打でも不調」と評される異次元のハードルを、あらためて世に示すことになる。