ドナルド・トランプ米大統領の79歳の誕生日でもある14日、陸軍創立250周年を記念した軍事パレードが行われ、戦車と数千人の兵士が首都ワシントンの街を行進した。一方、全米各地では計数百万人の抗議者によるトランプ政権への大規模な抗議デモ行進が起こった。

 ワシントン中心部では、兵士6600人、重戦車や装甲車など軍用車両150台、航空機50機などが披露された。イベントの費用は2500万~4500万ドル(約36億~約65億円)と見積もられているが、正確な金額はまだ明らかにされていない。米国での大規模な軍事パレードは、湾岸戦争勝利を祝った1991年6月以来34年ぶりとなった。

 戦車が首都の通りを走行するために、陸軍がルートの一部に厚さ1インチ(2・54センチ)の金属板を設置し、128台の戦車のキャタピラにゴムを装着。修理のための予算を確保することで、パレードが実現した。

 米国事情通は「軍部や親トランプメディアは、祝賀パレードは2年前から計画されていたもので、トランプ氏の誕生日は偶然だったとしています。しかし、トランプ氏は、第一次政権時の2017年にパリで見たフランス革命記念日の祝典に感銘を受け、ワシントンDCでの軍事パレードを思いついたそうです。2020年にやろうとしましたが、その時は費用の高さと、権威主義的すぎる印象を与える懸念があるとして断念に至りました。今回は念願のパレードでしょう」と語る。

 パレードでの演説でトランプ氏は、自身の誕生日について触れなかったが演説後、集まった聴衆は「誕生日おめでとう」と大合唱した。

トランプ政権の政策に反対するデモ参加者は「王様は不要」のプラカードを掲げた(ロイター)
トランプ政権の政策に反対するデモ参加者は「王様は不要」のプラカードを掲げた(ロイター)

「6月14日は星条旗制定記念日でもあります。米国の政治家や反トランプメディアが伝えているように、そんな日にトランプ氏の誕生日をからめて祝うという発想自体が、米国的ではないでしょう。個々の大統領を祝うのは独裁国家的で、民主主義国家は国家や国旗、憲法を祝うべきでしょう。また、トランプ政権が無駄な政府支出の削減を最優先課題に掲げていることから巨額なパレードの費用は今後、批判を浴びると思われます」(同)

 軍事パレードの一方で、この日は全米2100以上の都市や町で計数百万人による反トランプのデモ行進も行われた。主催者によるとロサンゼルスでは6万人、ニューヨークでは7万5000人が参加したという。

 ほとんどの集会は平和的に行われたが、移民・税関捜査局(ICE)の強制捜査に反対するデモが行われているロサンゼルスの「ノー・キングス(王様はいらない)」集会では、警察と抗議者の間で衝突があった。トランプ氏が「王様」のように国を率いていると抗議するため、このスローガンとなったという。

 米国内の混乱はまだまだ収まりそうにない。