南アフリカ共和国の奥地、クワズール・ナタール州にはホーウィック滝という景勝地が存在する。ウムゲニ川にかかる落差95メートルもの瀑布で、先住民族のズールー族が聖地としてあがめてきた場所である。そんな風光明媚な土地に古来生息していると言われているものが巨大な大蛇の姿をしたUMA「インカニヤンバ」である。

 全体的な印象は巨大な蛇やウナギに似ており、全長は10〜20メートル。全身が褐色で腹部は蛇に近いとされている。頭部は馬に似ており、たてがみないしはヒゲを備えているという証言も存在する。

 このインカニヤンバは非常に気性が荒く肉食で、時には人を襲うと考えられているため、現地の人々にとっては今も昔も変わらず畏怖の対象だったようだ。現地には夏になると滝から姿を消し、天から降りてきて嵐を呼ぶという伝説や、古代の人々が書き記したというインカニヤンバの壁画が残っている。

 また、滝や近隣の河川ではよく人が溺れたり引きずり込まれるという危険地帯が多数存在しており、そこではよく大蛇が目撃されたりすることから、不可解な水難事故や水死体はインカニヤンバの仕業だと考えられていたようだ。実際、近年まで定期的に滝に鶏やヤギなどの生贄(いけにえ)が捧げられていたという。

 インカニヤンバがはっきりと目撃されたのは1962年のことだ。現地で狩猟監督官を務めるブテレジ氏が、当時は工事中だったミドマー・ダム近くのウムゲニ川流域を歩いていた際、非常に体の長い見たこともない生物を目撃。彼が謎の生物の方へゆっくりと近づいていくと、生物は素早く水中に姿を消したとされている。この時、目撃された生物の姿が伝説上の生物だったインカニヤンバに酷似していたため、「伝説の大蛇が実在していた!」と騒動になったのである。

 その後もインカニヤンバは何度か目撃され、1995年にはついにその姿が写真に捉えられたのである。記事の画像がその写真だが、見ての通り非常に写りが悪く、また撮影者も匿名を希望していたため詳細は何もわかっていない。事実、この写真はフェイクであるとする見方が主流である。
 だが、その後の調査でホーウィック滝の滝つぼに長い横穴が開いていることが判明。インカニヤンバらしき生物が滝以外の場所にも現れるとされていることから、季節によって滝から川へと生息域を変える習性を持つのではないかと考えられている。

 インカニヤンバの正体に関しては諸説あり、身体的特徴から巨大ウナギか巨大な蛇の誤認ではないかとする説が主流だ。しかし、独特の生態を持つことから、まったく未知の水生生物であるとする説も存在する。

 果たして、インカニヤンバの正体は何なのか。神秘的な滝の中から、鎌首をもたげて伝説の大蛇が姿を現す日がいずれ来るのかもしれない。

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