2017年ごろ、屋久島で珍しい光景が撮影されて話題になった。それは、野生のシカにサルがまたがり、交尾のように思われる行動をしているというもの。
この現象は屋久島で20年間、サルの行動を観察・研究していた霊長類研究家が撮影に成功したものである。学術誌に発表したフランス・ストラスブール大学のスゥアール准教授は繁殖期だったために興奮していたこと、また交尾の相手が見つからなかったためシカに対してこのような行為に及んだのではないかという説を挙げている。なお、一方で一種のマウント行動だったのではないかとする説も出てきているが、いずれにせよ全く違う種の動物同士が交尾を行うという自然現象では非常に珍しいものであったことは間違いない。
さて、この現象を見て誰もが考えてしまうのは、「もし本当にサルとシカの間に本当に子供ができてしまったら?」という可能性だ。あまりにも遺伝的な隔たりが大きいため、生物学的には混血などあり得ないと考えられる。
だが、過去にはこの疑問の一つの解ともいえる写真が撮影されていたのだ。それがこちらだ。上半身はヒヒだが、下半身は子馬ないしは子鹿のように見える。まるで伝説に出てくる半人半馬ケンタウロスの動物版のようだ。
筆者はこの生物について「サルタウロス」と名付けた。この生物は屋久島でのケースが成功した結果生まれたものなのか? それとも、このような外見的特徴を備えた新種の生物がいたのだろうか。だが、これらの写真はさすがに合成であることが判明している。スペインのコンセプチュアル・アーティストであるジョアン・フォンクベルタ氏の作品だったのだ。サルタウロスの写真は「アメイセンハウフェン博士の動物」と題されるシリーズ物の一つで、作家兼写真家のペレ・フォルミゲラ氏と共同で作成したもの。彼らは1895年に生まれ、1955年に謎の失踪を遂げたドイツの動物学者、ペーター・アメイセンハウフェン博士の所有していたアーカイブという設定で、変わった動物の合成写真を次々と発表していった。後に欧米や日本で開催された展覧会で、写真の動物たちの剥製やアメイセンハウフェン博士のインタビューなども作成して展示した。
このシリーズは非常に完成度が高かったためか、後にジョーク記事が大半のタブロイド紙に掲載されもした。そこから「未確認生物発見報告」として広がったこともあったのはご愛嬌といえるかもしれない。






