「鶴は千年、亀は万年」は長寿を祝う昔ながらの定型句である。そこから鶴や亀は縁起の良い生き物だと考えられてきた。
では〝目の当たりにすると幸運になる〟という生物は存在するのだろうか。その答えとなりうるものが「豊年魚」だ。
昔からこの〝魚〟が現れると、その年は豊漁になったり、翌年からも豊漁や豊作が続いたので、瑞獣として広く知られていた魚だそうだが…豊年魚はかなり魚からは、かけ離れた姿をしている。
背筋が黒くてコケが生じており、目は鏡(眼光が鋭いということだろうか)、形はイタチ、亀のような足を備えている…そう、ヒレがない代わりに4本の手足があるのである!
さらに全身にはヘビのようなウロコがあり、腹側は蛇腹状。イタチのように長いしっぽの先は魚のようになっており、尾びれが存在している。クワッと開いた口からは赤く長い舌がのぞいている。豊年魚のことを記した瓦版や文献などを見ると、こんな怪生物が生き生きと描かれているのだ。
なお、大きさは約2・3メートル、重さは70キロ程度とされているので、かなり大きな生物であることが分かる。
豊年魚は江戸〜明治時代にかけてたびたび目撃されていたようだ。このことから、おそらく現在では種として確立している何らかの生物を誤認し、特徴が大げさに伝えられた結果、奇怪な生物・豊年魚の伝説が生まれたのではないかと考えられているが、それにしても異質な姿であるので、もしかすると、昔の日本にはこのような姿の怪生物が本当に存在していたのかもしれない。






