オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第76回は「赤いマント」だ。
「赤いマント」は学校怪談の典型的な話である。戦前、学生たちの間で盛んに語られた。大別して2種類存在する。町中に出現し、子供たちを赤いマントにくるんでさらってしまうタイプ。そして、学校のトイレに出現し、子供をいろいろな方法で殺害するタイプだ。
具体的な出現事例としては、トイレの個室に夕方ないしは夜間に生徒が入っていると、「赤いマントはいらんかね~」との声が聞こえてくる。そこで「いらない」と返事すると何も起きない。しかし、「いる」と答えてしまうと斬り殺され、まるで赤いマントを着せられたかのように全身真っ赤に染まった姿で発見されるという。
また、ある生徒がトイレに入っていると、奇妙な声が聞こえてきた。
「赤いマントいらんかね、青いマントいらんかね」
頭の良かったその生徒は「赤いマント」と答えると斬り殺されてしまうと考え、「青いマントがほしい」と答えた。すると翌日、全身の血を抜かれ、真っ青な死体で発見されたという。
これらの伝説はなぜ生まれたのであろうか。筆者が思うに、この話が成立した時期にその秘密がある。
赤いマントの噂は戦前に成立している。かの有名な二・二六事件を起こした陸軍将校の一人である中橋基明中尉は、マントの裏地を赤に染めていたといわれている。これは返り血を浴びた時に目立たないようにする工夫だったとされている。
二・二六事件は当時の大人のみならず、子供たちにも衝撃を与え、その衝撃が「赤いマントの軍人」から妖怪・赤いマントへ変貌していった可能性は十分にある。
【山口敏太郎】作家、ライター。著書「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」など200冊あまり。テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。ユーチューブでオカルト番組「アトラスラジオ」放送中。






