【今が“旬”~このレーサーに乗れ~】

 田中和也(36)大阪支部97期

 来年1月から適用される2021年前期の級別審査期間となる、5月から10月までの6か月間で、怒涛の優勝戦進出10回、優勝4回。勝率も自己最高の7・43をマークした。ここ最近、乗りに乗っている男が今回紹介する田中和也だ。デビューから15年が経過し、レーサーとして脂が乗ってきたように見える田中に、好調のワケを聞くと――。

 若手から中堅、中堅からベテランの域に入っても、進化への努力を惜しまない選手は多い。プロペラはもちろん、ターンの仕方、スタートの仕方を研究している選手もちらほら見かける。ただ、田中の場合は「ペラもレースも、やっていることはずっと一緒。何も変わっていません」と淡々としたものだ。

「自分はね、良かったことも悪かったことも、引きずらないんですよ。だから、どんなに成績が悪かったシリーズでも、翌日にはケロッと忘れているんです(笑い)」

 17年後期に6・98のハイアベレージを叩き出しながら、18年前期は5・93と1点以上、下げてA2に落ち、結局A2を3期続けることになるのだが「全然覚えてないッスね~(笑い)」とスランプにも無頓着。

 裏を返せばメンタルがものすごくずぶといといえるが、近況のVラッシュはずぶとさだけで片付けられない。そこで好調の要因をよ~く考えてもらうと「1年ぐらい前から減量を始めたんですが、もしかしたらそれかも!」とやっと核心に近づいた。

「それまでは朝飯を抜いて、昼にたっぷり食べたりしていました。二郎系(ラーメン)の大盛りなんかも平気で食べましたね。そういうのをやめて、朝にサラダを含めてしっかり食べて、昼も暴飲暴食をしない。食べたくても“やめとこか”とセーブするようになったんです。大阪支部の後輩の小坂(宗司)にもダイエットのやり方を聞きました。まず食物繊維を食べて、次にたんぱく質を食べる。どうしても白いご飯が食べたかったら、最後に少しだけにする。食べる順番ダイエットですね。減量前、前検に55キロあった体重が、夏場には51キロを切るぐらいになりました」

 急激にではなく、少しずつの減量が、約半年の期間を経て成績に表れたのだ。こうなると「成績が上がったら(買い物が多くなり)支出が増えるんで、頑張ろうっていう気になります(笑い)」の好循環を生む。

 強豪揃いの大阪支部から、また一人SGで暴れる選手が登場しそうだが「SGは出られたらいいな、ぐらいの気持ちで。高望みはしていません(笑い)」と、やはりマイペースを崩さない。とはいえ当分、田中の快進撃から目が離せそうにない。

☆たなか・かずや 1984年6月29日生まれ。2005年11月、住之江ボートでデビュー。5走目に初勝利。デビューしたシリーズでいきなり準優勝戦に進出(6着)した。11年7月、住之江ボートで初優勝。通算15V。同期には西山貴浩、山口達也、池永太、土屋智則ら。妻は現役女子レーサーで同期の原田佑実