ボートレーサーの今村豊(山口=59)が8日、引退を発表した。その今村ができなかった「グランプリV」の夢を託された弟子の白井英治(山口=43)。師匠引退の思いを語った。


(引退を聞いたのは)徳山の記念(9月、GⅠダイヤモンドカップ)の4日目が終わったあとに今村さんに言われました。何の前触れもなかったし、衝撃的過ぎて…。その場では「聞かなかったことにします」と言いました。理由を聞いたら「体重制限が52キロになったことがきっかけだった」ということでした。

 徳山GI最終日の今村さんのラストランの後にエンジンつり(格納)に行ったんですけど、まだ(引退が)公になっていなかったので涙を我慢するのに必死でした。(徳山で)最後に今村さんと足併せをさせてもらったんですよ。今村さんも自分も涙を流しながらの足併せでした。その時に山口支部の選手が他にも何人か(※)いたんですけど、今村さんが「一緒に走ろう」って声をかけて何度も足併せをしていました。みんな涙を流していましたね。
(※=寺田祥、谷村一哉、原田篤志、大峯豊、吉村正明、竹田辰也、森永隆)

 今村さんが唯一、なれなかった賞金王(グランプリ)を今年、取りたいですね。それが最大の目標。恩返しになると思って、やっています。

 今村さんの弟子になれたことには感謝しかないです。まだまだ記念戦線でも戦える力はあると思っていたので衝撃でした。ただ「悔いがない」って言っていることが今村さんのすべてを表していると思います。ひとつの時代が終わりましたね。

(今後は)自分の家から今村さんの家まで300メートルしか離れていないので、家に遊びに行ったり、一緒にゴルフをしたり…。今村さんのファンを代表して、しっかり見守っていきたいと思います。