【旬のボートレーサー】藤原菜希 チルト3で学んだ「イチかバチか」の攻め戦法

2019年04月24日 10時36分

念願の初優勝を成し、師匠・阿波勝哉(左)に祝福された藤原はさらなる飛躍を誓った

【今が旬〜このレーサーに乗れ〜】今、乗っている選手にスポットを当てる好評企画「今が“旬”~このレーサーに乗れ!~」――。今回は3月の大村GⅢオールレディースで待望の初Vを飾った藤原菜希(33=東京・107期)。師匠・阿波勝哉の教えを心の支えとして攻めのスタイルを貫く姿に共感するファンも多い。女子最強の攻撃派として今後、大暴れするのは必至だ。

 2010年11月のデビュー当時はまだ「持ちペラ制」で、駆け出しのころからチルト3度用のペラを扱い、師匠とともにまくり一撃の攻撃的な戦法を追い求めた。「チルト3はとにかくレバーを落とせないですからね。途中で1回放ったら終わり。その分、S事故も多かったけど、もともと自分の性格上、そっちの方が思い切ったレースができるし良かったですね。その経験が今になって生きてるのかな、と」

 師匠が作ってくれたプロペラに夢を託した新人時代。結果が出ないときでも腐ることなく度胸勝負を積み重ねてきたことが、ひとつの節目である初Vにつながった。

 その大村優勝戦。スリットを先頭で駆け抜けてから、その後の2周半は頭の中が真っ白になった。「(空手の)世界大会でも緊張しなかったのに、あの時だけはパニックになってしまって…。どんなターンしたかも全然覚えてないんです」

 強心臓を自負してきた元空手世界チャンプの武闘派でも待望の初Vを前にして心が揺らいだという。これも今後の大舞台を見据えれば自分を知るいい機会にもなった。

 初Vの1か月後、都内で阿波が祝勝会を開いてくれたことで喜びとともに実感も湧いてきた。師匠は決して口数の多いタイプではない。だからこそひと言に重みがある。

「いつも言われることは“藤原らしく走ってこい”。それぐらい(笑い)。細かいことをあれこれ言われるよりは私にはそっちの方がうれしい」

 とかく前のめりになりがちな藤原の気持ちをセーブして「空気を抜いてくれる」のも師匠の優しさだ。大村の優勝により8月に蒲郡で開催されるプレミアムGⅠ「レディースチャンピオン」の出場権を獲得。これが初の大舞台参戦となる。

「この仕事をしている以上、女子で一番大きなレースを勝ちたいし、SGにも出たい」

 好きな言葉は「イチかバチか」。訓練生時代にこう述べたら教官に猛烈に怒られたそうだが、今なら堂々と言える。GⅠデビューの“特典”はさらに攻撃力を磨く最高のモチベーションとなっている。

☆ふじわら・なつき=1986年4月20日生まれ。東京支部の107期生。2010年11月の平和島でデビュー。阿波勝哉に師事し、若手のころからチルト3度を駆使する個性派として奮戦。11年8月の多摩川で初勝利。今年3月の大村GⅢオールレディースで初V。学生時代には08年に空手の世界選手権53キロ以下で優勝経験もある。同期は近江翔吾、高田明ら。身長156センチ。血液型=A。