政治家やコメンテーターたちが世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を否定し始めている。というのも、ネットでは政治家などについて旧統一教会と関係があるのではないかと勝手に「壺(つぼ)認定」することが急増しているのだ。かつて衆院議員だった横粂勝仁弁護士は「つながりがあると認定されるのは政治家にとってマイナス」と指摘。また、旧統一教会が政治へ侵食する方法の一端を明かした。

 安倍晋三元首相(享年67)が銃撃され死亡した事件以降、旧統一教会に注目が集まっている。政治と旧統一教会との関係性がクローズアップされる中で、ネットではどの政治家が旧統一教会と近いのか議論されている。また、テレビのコメンテーターらも議論の俎上に上げられている。

 例えば、タレントで政治評論家の東国原英夫は15日にツイッターで「驚いた。ネットに『東国原は旧統一教会である』という書き込みがあった。思わず、鼻からヤクルトを吹いた(笑)。言っておくが、僕はこれまで一度も特定宗教等に入信した事は無い」とつぶやいている。

 ネットでは発言などから、ある人物が旧統一教会と近しいと判断することが横行しており、「壺認定」なる言葉も生まれている。壺は旧統一教会で問題となった霊感商法で壺を売っていたからだろう。

 政治家でも積極的に関係性を否定する人がいる。日本維新の会の音喜多駿参院議員は先日のブログで「旧統一教会や関連組織から支援を受けた事実や利害関係は一切ありませんし、今後も何らかの関わりを持つつもりはありません」と強調していた。

 壺認定は政治家にとってマイナスになりうる。2009年の衆院選で民主党の国会議員となっていた横粂氏は「マイナスですね。だから関係ないと表明するのでしょう」と指摘した。

 横粂氏が現役時代も永田町に旧統一教会の影はあったという。

「関連団体の人には会ったことがあると思いますね。『応援しています』とか『寄付したい』とか、いろんな人たちとの接触の中に紛れてくるのです。宗教団体としてではなく、あくまで別団体として来ます。1年生議員の私のところに来たくらいですし、ダメ元ですべての議員に接触している印象を受けました」(横粂氏)

 無差別に接近してくるだけに、政治と宗教の距離の取り方は重要だ。「私は現役時代、旧統一教会と関係がないと明言できますが、パーティー券を買った人の中に関連団体の人がいたかどうかまでは分かりません。パーティー券ならまだしも、ビデオメッセージを出すなど、より踏み込むのであれば、政治家は慎重であるべきでしょう」(同)

 どこまで厳しく関係性をとがめるのかという問題もあるが、安易な壺認定はよくない。横粂氏は「寄付などで関係があるとの証拠があればともかく、証拠に基づかない場合は刑法では名誉毀損罪になりうる。また、民事でも不法行為で損害賠償となることもある」と解説した。

 宗教は政治家にとって重要なカネと人(票)を運んでくるので関係を断りにくいというが、毅然とした態度が求められている。