次なる小池劇場の舞台は国政だ! 4日に投開票が行われた東京都議会選挙は、都民ファーストの会が第1党から転落したものの、自公で過半数には及ばないという〝勝利者なき選挙〟となった。とはいえ、静養していた小池百合子東京都知事(68)の〝小池マジック〟が炸裂し、壊滅が予想された都民ファが躍進し、その存在感を改めて見せつけたのも事実。勢いに乗る小池氏の視線は、国会に向いている。


 この結果を予想していた人はいなかったのではないか。報道各社の選挙情勢調査や自民党の調査では、自民党が議席数を伸ばし、都民ファが壊滅すると予想されていた。ところがフタを空けてみれば、自民党が33議席と第1党ではあるものの、公明党と合わせても過半数を超えることはできなかった。

 一方で「1桁になる」ともささやかれた都民ファは、14議席減らして31議席となったのに、〝負けたのに勝った〟ような評価を受けている。もっとも都民ファ候補の1人は「そもそも下馬評に違和感がありました。選挙前の体感は今回の結果と同じ。惨敗はないとみていました」と明かした。

 そうはいっても、都民ファの健闘を決定づけたのは小池マジックだろう。6月22日に小池氏は〝過度の疲労〟で静養し入院。重病説や仮病説が飛び交うなか、同30日に退院。ここからが急展開だ。今月2日の記者会見で都民ファ支持を明言すると、3日の選挙戦最終日には都民ファ候補を電撃応援するという、サプライズの〝小池劇場〟を見せた。

 それまで政界では、自民党の二階俊博幹事長と小池氏の間に密約があり、小池氏は都民ファの選挙応援に回らないと言われ続けてきた。この密約説は、都議選で小池氏が都民ファを応援しない代わりに、東京五輪・パラリンピック後に二階氏のバックアップを受けて小池氏が国政復帰する、というものだった。もちろん首相候補としてだ。

 根強くささやかれる密約説だったが、都民ファ関係者は「つまり密約はなかったということ。都民ファの応援をしないでほしいという自民党の願望でしかなかったわけです」と一蹴した。

 しかし密約説の背景には、小池氏が「女性初の首相になりたい」という野望を持っていると思われていることがある。小池氏周辺は野望自体を否定するが、本当に国政への野心がなくなっているのか? 前出の都民ファ関係者が言う。

「小池氏は確かに国政への関心があるでしょう。コロナや五輪で国とやり取りするたびに自民党に頼るとなると、国政の自民党とは仲良くして都政の自民党とは敵対して、というように矛盾する。これを解決するには都民ファから国会議員を送り出し、国とのパイプ役を作ることです。つまり都民ファの国政進出です」

 選挙中、麻生太郎財務相が小池氏に向けて言った「自分でまいたタネ」発言が批判された。麻生氏は「都民ファが国会議員を持たないことで都政と国政の間で話がつながらない」と指摘した。だからこそ小池氏は、都民ファが国政進出することで国政とのパイプを作ろうというのだ。

「都議選の結果、都議会で都民ファが少数与党になったのは事実で、苦しい都政運営が予想されます。議席数以上の脅威を与えるためにも都民ファから国会議員を出すべき。いざとなったら国政を狙っていくぞと他党を威かくすることになります」(前出の関係者)

 秋には衆院選が行われる。都議選での小池マジックの勢いで、都民ファから候補者を立てて国会議員を送り出すことも不可能ではない。さらに国政に足場ができれば、将来的に〝小池首相〟への拠点となりうる。小池劇場の幕は、まだまだ降りていないようだ。